いい所でまた一緒に

 【8月14日】

 梅野隆太郎が骨折した。13日のヤクルト戦で直球が左手首付近を直撃。試合中に大阪市内の病院で「左尺骨骨折」の診断を受けた。旧知の医師によれば「一般的には全治2カ月程度」だという。

 指揮官の岡田彰布が「骨折。今年は無理だと思いますよ」と語っていたが、仮に2カ月要するとすれば復帰は10月半ば。紙面的にはどうしても「今シーズン絶望的」という見出しがついてしまう。

 「(梅野の)代わりはおらんよ…。補充はできるけど」

 虎将がそう話した通り「代役」が容易に務まるポジションではない。今シーズンは坂本誠志郎とともに「W正妻」のようなポジションで投手陣をリードしてきた。どちらが不在でも大きな痛手。ベンチもそんな見方をしているし、個人的には「今シーズン絶望」とはできれば書きたくない。

 しかし、骨か?肉か?の骨である。ポジション的にも骨がひっつかない限りプレー復帰はおぼつかない…シロウトの僕にはそんな捉え方しかできないし、シーズン中の復帰を「祈る」しか芸がないのだけど、複数の治療家を取材すれば、過去に阪神でも骨折から「超復活」した選手はいたと聞く。

 例えば、18年の原口文仁。

 彼は9月のヤクルト戦でファウルを打った際に左手を負傷し、検査で「左手第五中手骨骨折」と診断された。が、なんと、それから10日後のフリー打撃でサク越えを3発放ち、12日でプレー復帰。最新治療で戦場に戻ってきた。

 同じく18年の糸井嘉男。

 彼はヤクルト戦で右膝付近に死球を受け右足腓骨(ひこつ)骨折し、戦線離脱。全治は約2カ月間程度と診断されていたが、3週間でプレー復帰。横浜スタジアムでの復帰戦で右翼スタンドに豪快に3ランをたたき込んだ記憶が鮮明に残る。この人はさすが超人で、その前日ファームで実戦復帰し、センターへ特大のアーチを放って1軍切符をゲット。「骨、大丈夫なん?」と、こっちが怖々問うたほどだった。

 もちろん、梅ちゃんには治療に専念してほしいし、焦ってもらいたくもない。でも、どんなピースにも代え難い扇の要だからこそ、こんな言葉を信じたくもなる。

 「奇跡」-。

 最終章の輪の中にユニホーム姿の背番号2を見たい。 

 前述したように、梅野と坂本が両輪でけん引してきた岡田阪神のアレロードである。梅野の骨折が判明した後の坂本の心が気になっていたが、虎番の取材によれば、坂本はこう話したそうだ。

 「梅野さんが一番悔しいと思います。梅野さんが帰ってくるまでみんなで戦って、いい所でまた一緒に野球をやりたい」

 チームの結束が深まり、絆が強まれば良し。前向きに捉えようと思う。「めちゃくちゃ悔しい」。梅野のこのコメントを皆で共有し坂本の言う通り「いい所でまた一緒に…」を合言葉に残り39試合。梅ちゃんがしっかり治してアレ戦士がみんなで一緒に笑えれば…。=敬称略=

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