江の川の怪童を脅かせ
【8月27日】
横浜の歴代ベストナインは誰か??SNSでそんなことが話題になっていた。僕が選ぶなら…迷う。大洋時代も含めれば名選手がわんさか。しかし、迷わないポジションがひとつあった。
キャッチャー。
谷繁元信である。
高卒1年目から1軍で出場機会を得て、球団名が「横浜ベイスターズ」に変更された93年を機にレギュラーになり、98年は14本塁打を放って攻守で38年ぶり日本一の立役者になった。
2000安打、NPB歴代最多出場捕手、そして、今年1月にプレーヤー表彰で黒田博樹とともに殿堂入り…。
若い世代にとっては中日ドラゴンズ時代の捕手&監督のイメージが強いかもしれないが、横浜でも文句なし。不動のベストナインだ。「谷繁だけは評価が割れない」。OBからもそんな賛辞が並ぶ名捕手である。
さすがの梅ちゃんでも厳しいか。
負けられないDeNA戦の三回裏、伊藤将司の暴投で喫した4失点目である。ブロッキング技術では阪神歴代捕手で屈指。古株の球団関係者何人かに聞いても「それに関しては梅野がナンバーワンでは?」というアンサーが返ってくる。1点を追う二回は打つほうで粘り強さを見せた。島田海吏を二塁に置いた戦況でDeNA大貫晋一のスライダーをしぶとくセンターへ。これが7月のカープ戦以来、27試合ぶりのタイムリーなんだとか。
もともと「打」は彼のストロングであり勝負強さが真骨頂。そんなときを知るからこそ、今はもどかしさが…いや、本人が一番分かっている。試行錯誤し、打撃コーチ今岡真訪に相談する姿を何度も見掛かけた。長いトンネルを抜けた先にヒットメークの導火線に出逢えると信じたい。
さて、阪神のすぐ下にいる4位DeNAには今シーズン覚醒の感漂う捕手がいる。打率3割目前の山本祐大だ。セ・リーグ打撃成績でチームメート宮崎敏郎と2位争い。「まさか」と書いちゃ失礼だけど、こんなにやるとは思わなかった。
そこで打たんでも…。
山本祐大が五回に岡留英貴からレフトへタイムリーを放って2-5。よう打つこの捕手は大阪出身の25歳。17年度ドラフトの9位入団である。36年前に大洋にドラフト1位で入団したレジェンドは、成長著しい「後輩」をどんなふうに見ているのだろう。
個人的な話になるけれど、僕はこの2年半、島根の高校野球界に携わってきた。そこで何度も逸話を聞かせてもらった「江の川の怪童」…。校名を石見智翠館に変えた谷繁の母校は、甲子園で旋風を巻き起こした大社に島根大会の決勝で敗れたが、今もなお「谷繁伝説」は廃れることなく語り継がれている。どんな??今このスペースではとても書き切れないので、いつかまたたっぷり書いてみたい。
それよりも、踏ん張れ、猛虎!
「自分のできることをみんなでしっかりやっていけたら…」。試合後の梅野のこの言葉がすべてなような。まだまだ。きょうは勝つばい。=敬称略=