おやじたちの憩いの場 大阪・堺市 居酒屋「おやじ」

 堺の地酒「千利休」とアキレス、穴子の天ぷら
 (左から)川瀬岳史さん、育健さん、照子さん
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 俳優中井貴一が目利きの古物商を演じ、佐々木蔵之介が鳴かず飛ばずの陶芸家を演じるコメディー映画「嘘八百」(武正晴監督、来年1月5日公開、GAGA配給)は大阪府堺市が舞台となった。2人が足しげく通う居酒屋として撮影されたのが、同市内にある「おやじ」だ。劇中でもリアルでも、おやじさんたちの憩いの場としてにぎわっている。

 ◇   ◇

 映画は大阪府堺市を舞台に、全編ほぼ同市内で撮影された。同市出身の偉人といえば千利休と与謝野晶子。佐々木ふんする陶芸家・野田と、中井ふんする古物商・小池が企てる、とある一件も“利休の幻の茶器”がカギとなる。

 「おやじ」は映画では、野田らが行きつけの居酒屋「土竜」として登場。マスターの西田(木下ほうか)、表具屋・よっちゃん(坂田利夫)、材木屋(宇野翔平)らが集まり、阪神タイガースの話題に花を咲かせる。

 武監督が思い描いた「おやじさんたちが連日一杯やっていそうな大衆居酒屋」というイメージに「おやじ」がピタリ、はまった。

 店は1989年6月29日、鮮魚店を営んでいた川瀬育健(やすたけ)さん(73)が妻の照子さん(73)と共に始めた。2人が「今でも忘れられない」というほどの大雨の日。お客さんが来てくれるのか、気が気ではなかったが、ふたをあけてみれば立って飲んでいる人がいるほどの大盛況だった。照子さんは「仲間や知り合いが駆けつけてくれまして。その頃も今も、いいお客さんに恵まれています」と感謝した。

 魚介料理がおいしい居酒屋として地元で愛され、今は長男の岳史さん(42)が店主に。岳史さんは開店当初は中学生。店の端っこで勉強したり、ご飯を食べたりしながら両親の働く姿を見てきた。「真っすぐに成長してくれた自慢の息子」と声をそろえる2人に「親バカでしょ」と岳史さんは照れた。

 調理師専門学校で学び、他店での修業を経て両親の店へ。メニューも積極的に開発する。すじ肉の一部である牛のアキレス腱を甘辛く煮た「アキレス」(380円)、穴子の天ぷら(580円)などが人気。

 多くのシーンで登場するが、撮影は1日で終えた。店に入った坂田は、「ほんまに昔ながらの店やなぁ」と感心し、マスター役の木下は、撮影用の食べ物を「おいしい、おいしい」とつまみ食いしていたという。

◆居酒屋「おやじ」 大阪府堺市堺区栄橋町1丁6ノ1 南海本線堺駅南口から徒歩2分。TEL072・222・2268。営業時間 午前11時半~午後2時(月~金曜)、午後5時半~午後10時半(LO)。日祝日定休。「宴会鍋セットメニュー」はクエ鍋またはてっちりに牡蠣フライ、付きだし、野菜、雑炊がついて一人前5000円。2月末まで。

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