2023.12.21

【有馬記念】ジャスティンパレス　天皇賞秋調整踏襲　臨戦態勢バッチリ　杉山晴師ファン投票メンバー最多に気合

　「有馬記念・Ｇ１」（２４日、中山）

　充実の一年をＶで締めくくる。出走メンバー中、ファン投票で最多票数を獲得したジャスティンパレスは、栗東坂路を軽やかな脚取りで駆け上がり好調をアピール。前走の天皇賞・秋２着時と同じ調整過程を踏み、臨戦態勢はバッチリだ。同期で“元世界王者”のイクイノックスは既に現役を引退。新たに現役最強の座に就き、次代の主役を担っていく。

　寒空から差し込む日の光を受け、黒く輝く馬体が軽やかに弾む。ジャスティンパレスは高倉（レースは横山武）を背に栗東坂路で最終リハ。もはやこれ以上手を加えることもない。手応えは最後まで馬なりのまま。それでも推進力に満ちた力強いフォームで一気に坂を駆け上がり、４Ｆ５３秒３－３８秒７－１２秒４をマークした。

　見届けた杉山晴師は「乗り役の話でも、僕が見ていてもリラックスして走れていました。テンション的に余裕があります」と満足そうにほほえむ。前走の天皇賞・秋の調整過程を踏襲して、１週前はコースで強い負荷をかけ、当週は坂路で軽め。「前走もしっかり走ってくれましたし、自信を持って選びました。大一番に向けて悔いのない仕上げです」と力強くうなずいた。

　３歳で挑んだ昨年は７着。「去年はまだ馬がしっかりしていなかった。体質が強くなって１年前とは別馬」と語るのは、この馬の成長過程を最も近くで見届けてきた池水助手だ。その証言通り今年に入って、阪神大賞典で重賞２勝目を挙げると、続く天皇賞・春でＧ１初制覇を飾った。

　宝塚記念でも３着と力を示し、前走の天皇賞・秋は発馬が決まらず後方からとなったが、レース、そして自身最速の上がり３Ｆ３３秒７でイクイノックスに迫った。「こちらの想像以上に力をつけてきています。去年ははね返されたけど、この一年の馬の充実ぶりを見れば、前走以上にやってくれると思います」と師も鼻息が荒い。

　ファン投票３位で得票数は出走メンバー中最多の２９万１１１３票。指揮官は「これだけたくさんの支持を受けて恥ずかしくない仕上げでレースに臨まないといけない。そういう意味ではプレッシャーは感じます」と気合が入る。現在、ＪＲＡで５３勝を挙げ調教師リーディングトップに立っており、レース当日は自らの４２歳の誕生日でもある。「馬とはあまり関係ないですね」と照れ笑いで隠したが、「厩舎の看板馬」が暮れの中山で現役最強馬の座に就けば、最高のプレゼントになるだろう。

　＜調教診断＞輸送を控えているため、精神的に煮詰め過ぎない仕上げ。結果が出ている前走と同様に、直前は栗東坂路で軽めの調整となった。単走とはいえ、力みもなく折り合いはスムーズ。シャープな体つきから繰り出される四肢の運びは柔らかく、そして軽やか。日光に照らされて光沢の出る毛ヅヤの良さを見ても、体調は間違いなくいいだろう。気配絶好だ。