北村弁護士に聞く、五輪エンブレム騒動

 2020年東京五輪エンブレムがベルギーのリエージュ劇場のロゴと似ていると指摘されている問題で3日、制作者の佐野研二郎氏が5日に会見することが発表された。ベルギー側は法的対応も検討しているこの問題、いったいどうなるのか。日本テレビの番組「行列のできる法律相談所」などに出演する北村晴男弁護士に聞いてみた。同弁護士は「あくまでも日本の場合は」とした上で主な問題点2つを指摘した。

 北村弁護士は、ベルギー側が「盗作された」という観点で著作権の侵害について提訴した場合、「ベルギー側の主張は弱い」との見解を示した。

 東京五輪のロゴは「T」をモチーフにし、ベルギー側は「劇場」を意味する「Theater」の「T」をモチーフにしている。両者とも同じ文字をアレンジしており、「結果的に似てしまった」ということは十分に考えられるためで、「絵画のように、その人物にしかかけない」というほどの独創性はないと裁判所も判断するのではとの見方を示した。

 他方、ベルギー側が「登録商標を侵害された」として商標権の侵害について提訴してきた場合は「五輪のデザインが白紙に戻る可能性もある」と指摘した。両者のロゴについて「客観的に類似性がある」と裁判所が判断する可能性は十分にあり、その場合、後から商標登録しようとした東京五輪のロゴマークは登録できず、不利な立場に立たされる。

 ただ、東京五輪・パラリンピック組織委員会は「国際的な商標登録の手続きを経てエンブレムを発表している」としており、この点では自信を持っている。

 五輪に関しては新国立競技場の計画が白紙撤回になったばかり。今後もエンブレムの行方がどう決着するのか、大きな注目が集まることは必至だ。

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 北村晴男(きたむら・はるお)弁護士。長野県出身。日本テレビ系「行列のできる法律相談所」にレギュラー出演。趣味はゴルフ、野球。月2回スポーツを中心としたメールマガジン「弁護士 北村晴男のスポーツ談義(https://www.tama-project.com/mailmagazin/)」を配信中。

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