晩夏の東京に響いた圧巻の歌声
2015年9月2日
NPO法人・世界芸術文化振興協会(IFAC)と、一般財団法人・東京芸術財団が共同で主催する「第4回東京国際コンサート プラシド・ドミンゴと、深見東州となかまたち!」が8月26日、東京国際フォーラムで行われた。
今回の主賓歌手は、世界3大テノールの一人、プラシド・ドミンゴ。今回は歌手としてはもちろん、芸術監督として、コンサートをプロデュース。
深見東州氏、ソプラノ歌手のヴァージニア・トーラ、ミカエラ・エステとともに、晩夏の東京を圧巻の歌声で染め上げた。
会場にいた誰もが、幸せをかみしめていたに違いない。希代のテノールの歌声を一瞬たりとも聞き逃すまいと、観衆は全身でその歌声を聴き、全身で拍手を送り続けた。それにこたえるように、ドミンゴも表情たっぷりに全12曲(アンコール含む)を歌い上げると、万感の表情で深見氏とがっちり握手。歌手も観衆も一体となった歴史的なコンサートは大成功のうちに幕を閉じた。
この東京国際コンサートも今回で4回目。過去にもキリ・テ・カナワ、ルネ・フレミング、ホセ・カレーラスなど、世界的な歌手がステージに立ったが、今回はいよいよドミンゴが登場するとあって、会場の雰囲気は開演前から異様な熱気に包まれていた。
第1部のオープニングでは深見氏、エステの歌劇ドン・ジョヴァンニの「お手をどうぞ」で、ちょっぴりコミカルな雰囲気を醸し出すと、続いて深見氏が「帰れソレントへ」「オー・ソレ・ミオ」といったナポリ民謡で聴衆を一気に引き込んだ。
そしていよいよ、ドミンゴが登場すると、待ちに待った観衆からは歌う前から「ブラボー」の掛け声が。歌劇アンドレア・シェニエより、「国を裏切るもの」を74歳とは思えない圧倒的な声量と、たっぷりの情感で歌い上げると、その後は完全にドミンゴ・ワールドに引き込んでみせた。
第2部では、南太平洋やウエストサイドストーリーなど、有名なミュージカルナンバーを次々と披露。特に「トゥナイト」では、マリア役のトーラと腕を組んで登場、愛を語らう究極のラブソングに、観衆の誰もがうっとりと聞きほれた。
実は、深見氏の声楽の師匠でもあり、世界5大バリトンと評されたグレゴリー・ユーリシッチが、ドミンゴと何度もオペラ共演を果たした親友同士。深見氏はユーリシッチから、ドミンゴの素晴らしさをことあるごとに聞かされていたという。
その縁から、深見氏とユーリシッチが豪州・パースに若手オペラ歌手育成を目的とした「オーストラリアン・オペラ・スタジオ」を設立したときに、ドミンゴはその施設のパトロンに就任するなど、お互いは深い信頼関係で結ばれている。
2011年東日本大震災時にも、他の歌手が軒並み来日公演をキャンセルする中、ドミンゴは約束通りに来日して、日本人を勇気づけたことは記憶に新しい。この日のコンサートも、ドミンゴの意向でチャリティー公演となり、収益の一部は東北復興のために寄付される。
アンコールでは、東日本大震災時にも歌った「ふるさと」を、出演者全員で歌い上げ、東北の復興を祈念。〝世界のオペラ王〟の東北への思いに、いつまでも拍手とブラボーの声は鳴りやむことはなかった。