分かりやすい採点方法を目指してほしい
2013年12月19日
だが、得点は得点。足の故障で今季のGPシリーズに一度も出場しておらず、試合勘も戻っていないはずのキム・ヨナの得点の方が上であるとは、首をかしげざるを得ない。
これまでも、浅田とキム・ヨナの得点をみて、釈然としない気持ちを抱いた人は多いだろう。バンクーバー五輪では、キム・ヨナがショート、フリーの合計で、フリーで2回のトリプルアクセルを飛んだ浅田真央の205.50点を大きく上回る228.56点で金メダルを獲得した。
また、その直後の世界選手権ではミスを連発したフリーの得点が、浅田のそれを上回った。
かつてソルトレーク五輪で行われたフィギュアスケートの採点が疑惑を招き、採点方法が変わったことがあったほど、フィギュアの採点方法は奇奇怪怪である。
現在、フィギュアスケートの採点は、国際スケート連盟が規定しているジャッジジシステム「Code of Points」が用いられている。これは、「International Judging System」とも呼ばれ、種目ごとに技術点、構成点、ディダクション(違反行為によるマイナス)を算出し、それを合計したものが総合得点になるが、一般の人間には、実に分かりづらい部分もある。
ジャンプの難易度などが採点の要素になる技術点は割と理解できる。だが、構成点というのが曲者だ。よくキム・ヨナは構成点が高いといわれている。
構成点とは演技審判が(1)スケート技術(2)動作(3)振り付け(4)曲の解釈(5)要素のつなぎ‐の5項目をそれぞれ10点満点、0.25点刻みで評価し、合計点で算出したものを指す。だが、浅田とキム・ヨナとの間に構成点でどれほどの開きがあるか、正直、分からない。
フィギュアスケートは採点競技であって、タイムを競うスピードスケートとは違うのはもちろん分かっている。だが、採点をする審判も人間である。思い込みの入る余地は十分にあるだろうし、かつてはジャッジの買収疑惑が渦巻いたこともある。確かに、フィギュアスケート界が、今まで以上に万人に分かりやすい採点方法を生み出すには時間がかかるだろう。だが、インターネットの投票などを使い、誰の目から見ても、納得できるいくつかの要素を採点に盛り込めないものだろうか。納得のいく演技で金メダルを獲得し、表彰台の真ん中に立つ真央ちゃんの笑顔がみられると信じている。(デイリースポーツ・今野良彦)