選手を悩ます“サイン問題”求められるファン側のモラル
共感した選手、関係者は少なくないかもしれない。元プロ野球選手の中村紀洋氏が29日、ツイッターを更新。ファンレターとともにサインを求めるファンに対し、これまで要望に応じてきたものの、サイン入りカードなどが販売されている事実を知り「今後一切サイン依頼は差し控える」と宣言した。
ファンあってのプロスポーツ。とはいえ、中村氏と同じような“悩み”を抱える選手、関係者は少なくない。複数のオークションサイトでは直筆サイン入りのベースボールカードやグラブ、バット、ユニホームなどが高額で売られている実態があり、夢を与えるつもりでプレゼント、サインした選手、監督、OBが心を痛めている。
中村氏はOBの立場だが、現役選手にはファンの呼びかけ、サインの求めに積極的に応じるよう球団から通達がある。プロ野球人気の低下が叫ばれるようになってからは特に、球団や選手のファンサービスに対する意識は高まっている。
プロ野球ではまもなくキャンプインを迎えるが、毎年多くのファンが訪れる巨人の宮崎キャンプでは球場出口で出待ちするファンにサインをして帰る選手の姿が目立つ。若手、ベテラン関係なく即席のサイン会を開き、1時間近くペンを走らせることもある。次の練習場所への移動や冷え込んだ体でサインできない場合には、あらかじめサインしたカードをスタッフが配布することもある。
希少価値のある有名人のサイン。何とかお宝をゲットしようと、スケジュールの把握しやすいプロ野球界では駅や空港などにも駆けつける熱心な“追っかけ”も存在する。
ただ、どこかでサインしたものがオークションサイトに流れていることから、ナーバスになっている選手がいるのも確かだ。ベースボールカードに関してはチーム全選手のカードをそろえて売られている場合もあり、「自分がサインしたらそろってしまうから、カードにはしない」と、拒む選手も出ている。
また、こうした事情から、子どもを優先してサインをする選手もいる。そんな時、「せっかく遠くから来たのに」などと不満を浴びせるファンもいて、選手側がまた心を痛めることになる。
選手が公では言いにくい“サイン問題”。中村氏は「純粋に応援して下さっている方々には大変申し訳ない気持ちでいっぱいですし、心が痛む思い」とつづったように、こうした行為は一部ファンが行っているもの。サービスが向上する一方で、ファン側のモラルも求められている。
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