稀勢の里KO星で8連勝 元世界王者・長谷川氏の前で“逆転右フック”
「大相撲春場所・8日目」(19日、エディオンアリーナ大阪)
稀勢の里は小手ひねりで平幕松鳳山を下し、1場所15日制が定着した49年夏場所以降の新横綱では5人目、自身7度目のストレート勝ち越しを決めた。NHK中継でゲスト出演したボクシングの元世界3階級王者の長谷川穂積氏(36)の前で、最後は“右フック一発KO勝利”。同部屋の関脇高安も勢を下手投げで下し、自身3度目の初日から8連勝。1敗で大関照ノ富士、平幕栃煌山が追う。
最後は怒りの“右フック”がさく裂した。稀勢の里は一撃逆転KOで松鳳山をぶっ倒すと、気迫のこもった表情で2度うなずいた。
今場所一番の苦戦だった。突かれて、もろ差しで体を起こされ、寄られた。これを振ってこらえると、左腕に力を込めて相手の右腕をひねった。幕内では15年春場所で旭天鵬が嘉風に決めて以来の小手ひねり。NHK中継ゲストの長谷川穂積氏の前でトドメの右との豪快な“ワンツー”を見せ勝利した。
「いろんなことがある。我慢して。これはこれで」。厳しい星をものにし、安どした。
父・貞彦さんが幼少期はプロボクサーにしようと考え、実家にはサンドバッグがあったほど、ボクシングには親しんできた。長谷川氏の試合は10年4月、V11防衛に失敗し世界王座を陥落したモンティエル戦を観戦した。
「あれだけ防衛している世界王者」と尊敬してやまない。昨年世界王者に返り咲き、世界王者のまま引退したことには「素晴らしい魂を感じた」と心が震えた。いつかは横綱のまま引退する自身とも通ずるものを感じた。
49年以降32人誕生した新横綱で5人目のストレート給金。弟弟子の高安とトップ並走は昨年名古屋場所9日目に8勝1敗で並んで以来。一騎打ちムードが高まり、7度目の同部屋優勝決定戦が視界に入ってきた。
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