柔道五輪金の内柴正人氏、柔術デビューで5試合全勝で2冠「僕にはこれしかできない」
2004年アテネ、08年北京五輪柔道男子66キロ級金メダリストで、準強姦(ごうかん)罪で懲役5年の実刑判決を受けた内柴正人氏(39)が26日、神奈川・寒川総合体育館で行われたブラジリアン柔術大会で柔術家デビューした。マスター(30歳以上)青帯の部ミドル級、無差別級に出場し、計5試合をオール一本勝ちで2冠となった。
かつての五輪王者は、押さえ込みの形から腕関節を決めるパターンで勝ちを重ねた。柔術デビューを圧勝で飾り、「面白かった」と充実した表情。全日本柔道連盟から永久追放処分を受け、現在は柔道の試合に出場できないだけに、「僕にはこれしかできないので、できることをやらせてもらって感謝している」と汗をぬぐった。
九州看護福祉大学女子柔道部コーチだった11年、教え子の女子部員に乱暴したとして全柔連から処分を受けた。14年には準強姦の罪で懲役5年の実刑判決が確定し、服役。今年9月15日に仮出所し、12月14日に刑期満了を迎える。
再起に向けて、「やっぱり(自身のことを)よく思わない人とか、いろんな意見がある中で、人前に出て戦うことを選んだ。生き方はたくさんあって、一生懸命働くことが大事な人もいるだろうし、でも僕は働いてお金を稼ぐことよりも、生きがいを大事にしたい」と指針を表明した。
10月には就職が決まったが、まだ具体的な仕事は決まっておらず、「今は柔術しかしていない」と内柴氏。「できることをやっていくしかない。(前科者として)差別、区別を受ける覚悟は6年前からしていた。(刑務所で)何もできない時間を過ごして、この先、どう苦しむのかは僕が決めること。それが仕事なのか、柔術なのか」。自身にできることをしながら、社会復帰を目指すという。