高橋大輔が宿した“本気の目” 電撃復帰に「自分にはフィギュアが軸にないと駄目」
フィギュアスケート男子バンクーバー五輪銅メダリストで、競技会への復帰を表明した高橋大輔(32)が1日、都内のホテルで報道陣の取材に応じ、自らの口で復帰に至った経緯を語った。高橋はソチ五輪後の14年10月に現役引退を発表。4年ぶりの復帰となる。
4年間、胸の奥でくすぶり続けた思いだった。14年4月の引退会見。「現役に未練がないわけじゃない。チャンスがなくなったわけじゃない」。集大成だったソチ五輪は直前の怪我の影響もあり、6位。その後の世界選手権も欠場し、そのまま引退となった。口にした未練は、4年をかけて抑えきれないものとなった。
今年1月、高橋から現役復帰の意思を聞かされたマネージメント担当者は振り返る。「久々の本気の目だった。いい目だった」。平昌五輪のキャスターなど、入っていた仕事を一段落させ、4月から徐々に練習を開始。64から65キロあった体重は、もう60キロ前後に。ジャンプは高橋自身が「現役の後半よりもいいんじゃないかな」というほど、確かな手応えを得ている。
勝ち負けではなく、自分自身を納得させるための挑戦。最大の目標に掲げる全日本選手権まで進めば、平昌五輪金メダルの羽生結弦、銀メダルの宇野昌磨と同じリンクで相まみえることになる。4年のブランク。「もちろん勝ちたいけど、素直な気持ちをいえば、勝てる気持ちは一切ない。勝てなくて当たり前。勝てればもうけもん。それぐらい別次元」と、無謀なのは百も承知。それでも「もし練習の中で自信がつけば、思い切り食らいついていきたい」と、アスリートとしての闘争本能を垣間見せた。
「1番は自分にはフィギュアスケートが軸にないと駄目だと思った。今後の人生を過ごす中でフィギュアスケートというしっかりしたものを持っていないと、自分らしく過ごせない」。4年の時を経て、自らが最も輝ける場所を再確認した32歳。光輝く銀盤の上に、日本男子フィギュアの第一人者が帰ってくる。