男子ハンドボールの新星・部井久アダム勇樹 32年ぶり五輪出場へ仏で武者修行中

 2020年東京五輪に88年ソウル五輪以来、32年ぶりに出場する男子ハンドボール界に、期待の新星が現れた。17年に史上初めて高校生で日本代表入りを果たした部井久アダム勇樹(20)がインタビューに応じた。昨年から、中央大に籍を置きながらフランス1部セッソンの下部チームでプレー。競技が盛んな欧州で経験を積み、1年後に迫った五輪本番へ成長を図る。

  ◇  ◇

 -昨年からフランス1部セッソンの下部チームで、主に同国4部相当のN2リーグでプレー。トップチームの試合にも出場した。1年間を振り返ると。

 「(相手の)体が大きくなった。前までは自分が高さや力で負けることはほとんどなかったんですけど、身長が武器にならない。シュートにいくまでの動きやプレーの判断力を伸ばしたいですね」

 -判断力が大事。

 「そうですね。最終的にシュートが入らないと意味がないんですけど。高いレベルになると1人かわしてもカバーが来たりするので、シュートを打つまでが大事になる。二の手、三の手じゃないですけど、先を考えながらプレーします」

 -異国での生活は。

 「言葉が通じないなりにも自分からコミュニケーションをとってました。時間があれば1人新幹線でパリまで行ったり」

 -1人暮らし。

 「3食自炊をしてました。体重も全然落ちずに7~8キロぐらい増えた。トレーニングして、ご飯もしっかり食べました。ハンドボールだけをする生活なので、(それ以外に)割ける時間も多かった。食事、栄養、トレーニングを妥協せずに自己管理できたのは、一つ大人になったと思います」

 -筋肉で体重を増やすことが目標だったとか。実感はあるか。

 「かなりあります。まだまだですけど、体の強さが出てきた」

 -特に体重を増やしたのはなぜか。

 「高校3年で代表に呼ばれた時はガリガリで、プレー以前に当たり負けして、何もできないことが多かった。『そこの差を埋めなきゃこのレベルでは活躍できない』とずっと思ってきたので、体作りは一番重点を置いてやってました。監督にも『増やすように』って言われていたので、代表合宿がない期間も常に意識して取り組んでました」

 -7月末に再びフランスへ渡り、リーグ戦に備える。日本でやっておきたいことは。

 「飯っすね。めちゃめちゃうまい。特に好きなのはサバのみそ煮。ばりうまくないですか?定食とか食べたくなります。みそ汁とか漬物とか和風が。なんだかんだ母ちゃんの飯が一番うまいんですけど。好きなのはギョーザ。あんから作るんですよ。うまいっすね」

 -普段の休日の過ごし方は。

 「基本外に出ますね。買い物、映画とか。あと野球観戦。ばりばりホークスファンで、今の一推しは大竹です。福岡に帰ったら絶対に一緒に行くやつがいます。こないだも神宮球場まで大学の同期と一緒に見に行った」

 -今後の目標は。

 「出場時間を増やして、とにかく勝ちに貢献したい。僕は『試合の出場時間が長い=チームへの貢献度が高い』と思っている。僕のポジションは頭も使って、足を使って、ボールをいっぱい触るので、なかなか全部出るのは難しいんですけど」

 -日本男子の五輪出場は32年ぶり。残り1年でどのように成長したいか。

 「大事な場面で結果を残せるような選手でありたいです。それと今は精神的な面がまだまだ弱いなと」

 -弱いとは。

 「試合の中で立て直していくのができてない。高校生の頃は『負けるわけがない』としか思ってなかったので、どんな状況でも強気でいけた。けど日本代表ではちょっと出ばなをくじかれると、なかなか試合の中で立て直せなかったりする」

 -東京五輪への思いは。

 「大きな目標です。若い年で自国開催なのはすごく幸運というか、なかなか経験したくてもできることではない。ハンドボールを知ってもらうチャンスだとも思います。五輪まで時間もないので、悔いが残らない、いい時間を過ごせれば。必ず結果に結びつけたいです」

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