瀬戸大也“金”競泳・東京内定1号 萩野超え!200個人メドレーで日本初
「競泳・世界選手権」(25日、光州)
競泳男子200メートル個人メドレー決勝で、瀬戸大也(25)=ANA=が1分56秒14で金メダルを獲得し、来年の東京五輪の代表に決まった。競泳の日本代表第1号。日本勢が同種目を制したのは五輪、世界選手権を通じて初めて。200メートルバタフライ銀メダルに続く今大会2個目のメダルを手にし、28日には過去2大会で金メダルを獲得している400メートル個人メドレーに臨む。萩野公介(ブリヂストン)、池江璃花子(ルネサンス)が不在の日本競泳陣を、エースに成長した瀬戸が力強くけん引する。
後半になってもペースは落ちない。150メートルをターンし、最後の自由形。動かなくなる足を懸命に蹴り続けた。「死にものぐるいでした」と瀬戸。勝利を確信すると、指で「1」と示し雄たけびをあげ、喜びを爆発させた。自己記録を0秒55縮め、頼れる主将が日本勢金1号。東京五輪代表に内定した。開口一番「最高です」。輝く笑顔で歓喜に浸った。
本命は400メートル個人メドレー。ライバルの様子を見て「絶好調ではなさそうだったし、チャンスと思った」と言う。しかしこれまで好成績を収めた後は、必ずと言っていいほど調子が落ちた。試合前には梅原孝之コーチから「二ついい結果を残したことはないぞ」とハッパを掛けられる始末。しかし負のジンクスを優に超える自信を、日々のトレーニングに耐え培ってきた。
前日の200メートルバタフライでは世界記録を出したミラク(ハンガリー)を無理に追わずに2位争いに徹して銀メダル。この日は対照的に金と定めて臨み、狙い通りにかっさらった。まさに経験勝ち。「55秒台だったら120点だったけど。今日は100点」と語る姿には貫禄すら漂った。
支えてくれる妻・優佳さん、まな娘の優羽(ゆわ)ちゃんにささげる金メダルだ。妻もかつては世界を目指した元飛び込み選手。瀬戸の「東京五輪で金メダル」の夢は今や家族の目標となっている。家での食事は優佳さんが工夫。「主人はにんにくの入ったメニューが好き」と笑う。
瀬戸がサポートを受ける味の素の鈴木晴香管理栄養士は「優佳さんは元アスリートだけあってすごく努力家。大也君の言うことも、私たちの話も自分なりに理解して改善しようとする」と語る。栄養はもちろん、盛り付けや彩りにもこだわる。梅原コーチも、瀬戸の好調の要因を「休息、栄養、体重コントロール。全てが積み重なっている」と語った。
1歳の娘は最近歩く練習を始めた。表彰式でもらった大会マスコット「スリ」のぬいぐるみは「娘にプレゼントする」と一瞬、父の顔をのぞかせた。七夕の短冊には家族が「パパが世界一になりますように」と書いてくれた。早速かなった家族の願い。世界一のパパとして東京五輪へ向かう。