一山麻緒、大会記録で初Vも悔し涙 日本記録更新お膳立ても届かず成長誓う
「大阪国際女子マラソン」(31日、長居公園)
東京五輪代表の一山麻緒(23)=ワコール=が大会記録の2時間21分11秒で初優勝を果たした。前半は日本記録ペースの快走を見せたが、後半に失速。05年に野口みずきが出した2時間19分12秒の日本記録を更新することができず、悔し涙を流した。今大会は新型コロナウイルス感染拡大を受けて、大会史上初の周回コースで開催。海外招待選手がいない中で高速化を狙うため、男子の川内優輝(33)=あいおいニッセイ同和損保=らがペースメーカーを務めた。
堂々の1位でゴールテープを切った一山に笑顔はなかった。「日本記録を目指して練習してきたので、正直ゴールしたときはうれしいー!と思ってゴールはできなかった」。05年に野口みずきが出した2時間19分12秒の壁は厚かった。
今大会は新型コロナウイルス感染拡大を受け、アップダウンの少ない周回コースで実施。また、海外招待選手がおらず、高速化を狙うため、国内女子マラソン初となる男子のペースメーカーを起用するなど、女子マラソン界全体で約15年ぶりの日本記録更新を目指した。
この日はほぼ風もなくスタート時の気温は10・2度、湿度は50%と好条件の下、スタートした。一山は、前半は日本記録ペースを刻む快走をしていたが、「25キロくらい過ぎてからは、体がきついというか、少し呼吸がきつくなり始めた」と後半に失速。川内らペースメーカーが「『いけるよ』とか、『頑張れ頑張れ』と引っ張ってくれた」と、大きく崩れることはなかったが、日本記録には届かなかった。
大会記録を更新して初優勝を飾ったが、場内インタビューでは「この大会までに、いつも私と同じ気持ちで目標に向かって、最高のサポートをしてくれるワコールのスタッフなので、本当は一緒に喜びたかった。悔しいです」と涙を流した。
20年3月の名古屋ウィメンズマラソンでは日本歴代4位の2時間20分29秒で東京五輪マラソン女子代表ラスト1枠を獲得。その後もトラック種目の5000メートル、1万メートルで自己ベストを更新するなど大飛躍を遂げた。順調に調整を続けていたが、年末に体調を崩し約5日間練習できず。永山忠幸監督(61)は「走ることも歩くこともできなくて、食べるものも流動食。12月31日にジョグがようやくできた」と明かし、「最後の3週間はすごい練習ができていたので、想定外の出来事でしたけど、よくここまで耐え抜いた」とたたえた。
次にフルマラソンを走るのは約半年後の東京五輪になる見込み。新型コロナの影響で現在も開催は不透明な状況となっているが一山は「やってくれると信じて、私はそこで最高の走りができるように最高の準備をしたい」。大舞台を笑顔で駆け抜けるため、さらなる成長を誓った。