競歩・丸尾、涙の初V 大会新で五輪切符「なんとか勝ち取ることができた」
「陸上・日本選手権50キロ競歩」(11日、石川県輪島市・日本陸連公認コース)
東京五輪代表選考会を兼ねて行われ、17年世界選手権代表の丸尾知司(29)=愛知製鋼=が3時間38分42秒大会新記録で初優勝し、五輪代表に内定した。ラスト5キロまでアジア記録ペースを刻み、次々とライバルを振り落として圧勝。すでに決まっている鈴木雄介(富士通)、川野将虎(旭化成)に続くラスト1枚の五輪切符を手にし、ゴール直後に涙を流した。16年リオデジャネイロ五輪銅メダリストの荒井広宙(32)=富士通=は7位だった。
ゴールテープを切った丸尾の目から涙がこぼれ落ちた。代表選考会を兼ねた19年全日本高畠大会では惜しくも2位。「高畠で負けてから厳しい戦いだったけど、なんとか勝ち取ることができた」。大会新記録で最後の五輪切符を奪取した。
序盤から先頭集団につくと、ライバルのスパートにも全て対応。中盤から野田明宏(自衛隊)とアジア記録ペースで一騎打ちを繰り広げたが、42キロ付近で丸尾が仕掛けて突き放し、圧勝した。
大会前の合宿では同じ愛知製鋼所属で20キロ代表の山西利和とともに40キロ以降の練習を積んだ。山西はこの日も応援に来ており、丸尾は「レース中に『練習通りですよ』と言ってくれて(合宿を)思い出した。非常に力になりました」と仲間の存在に感謝した。
男子50キロの層の厚さを示し五輪1種目で複数メダルも見えてきた。「(代表権を)勝ち取ったからにはメダルをターゲットに、さらに気を引き締めていきたい」。負ける悔しさ、勝つ喜び、全てを力に五輪の舞台で躍動する。
◆丸尾知司(まるお・さとし)1991年11月28日、京都府出身。陸上長距離の選手だったが、膝を痛めて走ることができずリハビリの一環で競歩を始めた。17年世界選手権は5位、18年アジア大会は4位。京都・洛南高、びわこ成蹊スポーツ大を経て愛知製鋼。176センチ、63キロ。