競歩・鈴木 五輪辞退…灼熱ドーハから約2年慢性疲労に悩まされ、苦渋の決断
日本陸連は22日、東京五輪男子50キロ競歩代表の鈴木雄介(33)=富士通=がコンディション不良のため代表を辞退することを発表した。金メダルを獲得し代表に内定した19年ドーハ世界選手権の疲労が現在も抜けきらず、五輪の舞台で金メダルが獲得できる状態に仕上げるまで残り約1カ月では間に合わないと判断した。これにより補欠の勝木隼人(30)=自衛隊=が代表に繰り上がった。
苦渋の決断だった。50キロで金メダル候補だった鈴木が五輪開幕約1カ月前にして代表を辞退。「自分が望む結果を得るための状態まで仕上げていくことは困難と判断し、今般の決断に至りました」。“ただ出場する”ことよりも最後まで“結果”にこだわった。
16年リオ五輪は前年に負傷し出場できず「東京オリンピックには必ず出場し、金メダルを獲得することを強く望んで練習に取り組んできた」。満を持して臨んだ19年ドーハ世界選手権では気温30度超え、湿度74%という悪条件の中、約4時間歩ききって金メダルを獲得。東京五輪代表に内定した。
しかし、過酷なレースの影響は思った以上に大きかった。ドーハから約2年が経ったが慢性的な疲労が続き、大会出場を避けて復調を目指したが、今夏の大舞台で金メダルを獲得できる状態にするには約1カ月では間に合わないと判断した。
「悔しい気持ちもありますが、日本競歩チームの一員として、出場する選手を応援していきたい」と金メダルへの思いを、ドーハ世界選手権でも共に戦ってきた勝木に託す。鈴木は今後も競技を続けていくとし「来年の世界陸上、そして次回のオリンピックでは金メダルを目指せるように頑張りたい」。心が折れない限り、頂点を目指し続ける。