国枝慎吾2大会ぶり3度目の金 車いすテニス絶対王者の貫禄!日本選手団主将“男泣き”

 男子シングルスで金メダルを獲得し、号泣する国枝慎吾(撮影・伊藤笙子)
 サーブを打つ国枝
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 「東京パラリンピック・車いすテニス男子シングルス・決勝」(4日、有明テニスの森)

 男子シングルス決勝で、日本選手団主将を務める第1シードの国枝慎吾(37)=ユニクロ=が第8シードのエフベリンク(オランダ)を6-1、6-2で下し、2大会ぶり3度目の優勝を果たした。ダブルスを含め5大会連続の表彰台で通算のメダルを金4個、銅2個とした。

 一生分泣いた。歓喜のシャワーを浴びながら、何度も顔を押さえて泣いた。「本当に信じられない」-。5度目のマッチポイント。相手のボールがネットにかかって金メダルが決まった。喜びをかみ締めるように、高く、高く、何度も手を上げる。駆けつけた大勢のボランティアからは、拍手が鳴りやまなかった。「もう一度大きな拍手を!国枝慎吾!」。熱を帯びた会場アナウンスに、世界最強の男は日本国旗を掲げて笑ってみせた。

 “絶対王者”のプレーだった。第1セットではいきなりブレークを許したが、その後は6連続でゲームを奪取。緊張をほぐすように息を手に吹きかける姿は、次第に涼しい顔に変わった。第2セットも3-1で迎えた第5ゲームで4度のジュースを制した。勝負どころは決して譲らなかった。

 雪辱を果たす大会でもあった。シングルス3連覇が懸かった16年リオ大会はまさかのベスト8で終わった。大会後は「引退を何度も考える」ほど追い込まれた。苦しい時期もあった。それでも地道に努力を重ね、シングルスは初戦から決勝まで全てストレート勝ちの“完全制覇”。「まだ夢の中にいるような気持ち。本当にこの日のために全てを費やしてきたので、それが報われて良かった」。王者は感慨にふけった。

 「一生分泣いたし、もう枯れました」。自国開催の夢舞台で手にした、黄金のメダルは誰よりも似合っていた。「また金メダルを首から提げて。北京、ロンドンとは全然違う」。日本のエースは、最高の笑顔で涙の跡を拭いた。

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