サーフィン都筑有夢路 飛んで飛んでワールドタイ獲る、その先の「パリで金」へ
サーフィンの第3回ジャパンオープンが3月30日、静岡県牧之原市の人工波プール「静波サーフスタジアム」で行われた。女子は昨夏の東京五輪で銅メダルを獲得した都筑有夢路(あむろ、21)=木下グループ=が初優勝し、男子は2大会ぶりに村上舜(25)が制した。2人は今年のワールドゲームズ(WG=世界選手権に相当、詳細未定)の日本代表に決定。“日本一”を決める大会を振り返る。
3月下旬、まだ冬の寒さが残る会場で誕生した“新日本女王”は、優勝カップを満面の笑顔で持ち上げた。女子を制したのは東京五輪銅メダリストの都筑。「本当に楽しいの一言。そういう気持ちでいられたことが本当にうれしい」と初優勝をかみ締めた。
新たな試みにも動じなかった。今回は、国内で初めて本格的な人工波プールで行われた大規模大会。都筑も、人工波プールは4時間しか練習したことがなく、「どんな感じなのか、ジャッジ(の傾向)も全く分からなかった」と手探り状態だった。それでも、安定感のある波乗りで着実に点数を重ねる強さがあった。
海の試合は波選びも重要な要素だが、人工波プールでは波を選ぶ必要はなく、純粋な力量勝負となる。難易度の高い波では、女子でも空中技に挑戦する選手が多く、都筑もその1人。数回成功させ、質の高いサーフィンを見せつけた。
「世界に出て行くには、女子も今後絶対必要になってくる技。エア(空中技)をものにしたいです」。今大会の男子決勝では、村上が空中で360度回転(フルローテーション)する「エアリバース」を豪快に決めて優勝を勝ち取っており、男女差はあれど、都筑も成長の余地は見込める。
村上や準優勝した大原洋人は空中技を得意としており、都筑も参考にしているという。「次元が違いすぎて、どう追いつこうみたいな感じです」。特に課題を感じているのは飛ぶタイミングで、「経験が少ないからタイミングがずれることが多い」。着水も難しいといい、修正を重ねていく意向だ。
大技を習得した先には、世界のトップで戦う姿を見据えている。都筑は今後、プロ最高峰のチャンピオンシップツアー(CT)の参戦を目指し、5月から始まるチャレンジャーシリーズ(CS)を転戦予定。昨年は補欠ではあったが、現行制度で日本女子初のCT出場も果たしているだけに、「ワールドタイトル(CT年間女王)を獲る目標があるので、そこに対しての通過点」と意識も高い。
3月はジャパンオープン選考会を兼ねた強化合宿を勝ち抜き、アジアオープンでも準優勝。ジャパンオープンでは初優勝し、連戦でもしっかりと結果を残し続けた。「この経験を次の試合にどんどん生かしていきたい」と意気込む都筑は、「自分を常に成長し続けられるような1年にしたいなって思っています」と誓う。
成長著しい21歳が掲げる目標は、ワールドタイトルの他にもう1つある。「(2024年)パリ(五輪)はもう、金メダル獲ります」。東京五輪では届かなかった頂点へ、夢の“路(みち)”を歩き続ける。
◆ジャパンオープンVTR 第2回大会までは東京五輪会場の千葉県一宮町釣ケ崎海岸で行われた。2019年5月の第1回大会の男子は村上舜、女子は松田詩野が制し、同年9月のWG代表権を獲得。20年11月の第2回大会では男子は大原洋人、女子は前田マヒナが優勝した。大原と前田は代表に決まった東京五輪最終予選を兼ねた21年5月~6月のWGで東京五輪出場権を勝ち取った。第3回大会は初めて人工波プールで行われ、男子は村上、女子は都筑が制した。
◆都筑有夢路(つづき・あむろ)2001年4月5日、神奈川県藤沢市出身。小学5年で兄・百斗の影響でサーフィンを始めた。19年9月にプロ最高峰チャンピオンシップツアー(CT)の予選シリーズ(QS)の最高ランク大会で初優勝。21年4月に現行制度で日本女子初となるCT参戦を決め、同年7月の東京五輪で銅メダルを獲得した。名前の「有夢路」は、両親が「男の子っぽい名前にしたい」と付けた。ニックネームは「あむちゃん」。159センチ。