池江璃花子の練習外での努力 完全復活へ卒業研究でも泳ぎを模索
「競泳・日本選手権」(9日、東京アクアティクスセンター)
女子50メートル自由形が行われ、21年東京五輪代表の池江璃花子(22)=横浜ゴム=が24秒74の復帰後ベストタイムで優勝を飾った。派遣標準記録(24秒70)は突破できなかったものの、50メートルと100メートルのバタフライ、100メートル自由形に続き4冠を達成。今大会では2種目で6年ぶりの世界選手権(7月、福岡)切符を勝ち取り、「すごくうれしい気持ちでいっぱい」と振り返った。
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池江は日大で「バタフライ泳のパワーとタイム変化について」のテーマで卒業研究を行い、科学的に完全復活に向け模索していた。
泳いでいるときのパワーに着目したもので、日本水連が代表選手強化の一環として2017年から同様のデータを採取していた。白血病から復帰し、データが以前と比べて下がっていることは承知の上で再計測を決意。研究を担当した日大の原怜来先生に「もう一回データを取る」と自ら言いにいったという。
昨年代表入りを逃し不調の時も計測を続け、前向きな考察を書き続けた。原先生は「どんなデータでもポジティブに捉える。パワーがダメなら(別の)ここはいいかもと言っていた」と明かした。
結論としては、パワーは高校時代に戻っており、技術力が戻っていないのではないかという考察。「自信がない」と昨季何度も口にしていた池江。その裏では練習以外のアプローチで努力を積み重ねていた。(デイリースポーツ競泳担当・谷 凌弥)