“全員バスケ”で富永啓生&河村勇輝の22歳コンビを生かせ カギは3点シュート成功率
「バスケットボール男子・W杯・1次リーグ、日本代表-オーストラリア代表」(29日、沖縄アリーナ)
来夏のパリ五輪で、1976年モントリオール五輪以来、48年ぶりの自力出場を目指す世界ランキング36位の日本。27日は最大18点差をひっくり返す大逆転劇でフィンランド(同24位)を撃破し、W杯の前身の世界選手権以来、17年ぶりの歴史的勝利をつかんだ。2次リーグ進出を懸けて29日はオーストラリア(同3位)と対戦する。NBA選手を9人擁する相手に対して、いかに3点シュート成功率を上げられるか。中心は、フィンランド戦で同確率57・1%を記録した富永啓生(ネブラスカ大)と河村勇輝(横浜BC)。その上で、22歳コンビをいかに“全員バスケ”で生かすかが命運を握る。
大前提として頭に置いておくことは、バスケットボールは“番狂わせ”が起こりにくいということ。身長がものをいう世界で、スコアも1、2点を争うわけではなく、40分の間に攻守が目まぐるしく入れ替わり、100点近い点数が動く。そのため力量差がはっきりと表れやすい。
その中で日本が歴史的1勝を挙げられた理由は、ホーバス監督の戦術の成果といえる。積極的な守備からテンポの速い試合を展開し、3点シュートを多用する。それを決めるか決められないか。渡辺は「強い相手にも勝てるし、弱い相手に負けることもある。悪い言い方をすればギャンブル」と比喩し、サイズで劣る日本が強豪に勝つための戦い方だ。
それを踏まえてオーストラリアに勝つためには、3点シュートの成功率40%を上回ることが最低条件。八村塁(レーカーズ)不在で渡辺も負傷している中、NBA選手9人を擁する国と同じ土俵に立つためには、39%だったフィンランド戦を超えるパフォーマンスを発揮するしかない。
中心は27日に成功率57・1%を記録した富永、河村だろう。ただ、この2人を生かすためには“全員バスケ”が欠かせない。これまでの活躍から相手が警戒してくることは必至。NBAで守備スペシャリストのサイブル(トレイルブレーザーズ)、ロンドン五輪と東京五輪で得点王のミルズ(ホークス)をぶつけてくる可能性が高い。
帰化選手のホーキンソンがリバウンドを死守し、ゴール下に相手を引き寄せるか、馬場や吉井らがスクリーン(壁)をかけて、相手を引き離すか。またはフィンランド戦で鋭いドライブを見せた河村が、相手守備を引き寄せて富永にラストパスをするか。いずれにしてもNBA選手を“22歳コンビ”から引き離して、いかにシュートが決まりやすいシチュエーションを全員一丸で作り上げられるかがカギを握る。
100回に1回勝てるかどうかの格上との一戦。それを可能にするのがホーバス・バスケットだ。22歳コンビを生かした全員バスケで“ギャンブル”を実力に引き上げ、2度目のジャイアントキリングに期待したい。
◆日本の2次リーグ進出条件 各組の上位2カ国が2次リーグに進む。2戦を終えた現時点のE組はドイツ(2勝)、オーストラリア(1勝1敗)、日本(1勝1敗)、フィンランド(2敗)となっており、29日は日本-オーストラリア、ドイツ-フィンランドを行う。第4クオーターを終えて同点の場合は5分間の延長戦を行うため、引き分けはない。ドイツは黒星でも、日本-オーストラリアのどちらかが1勝にとどまるため2次リーグ進出がすでに決定。残り1枠は日本かオーストラリアになる。勝者が1次リーグを突破、敗者は17~32位決定戦に回る。