“シダマツ”いざ金へ! オグシオ見て育った世代が目指すタカマツ以来の頂点 パリへの思い「誰にも負けない」

 バドミントン女子ダブルスの志田千陽(ちはる、27)、松山奈未(26)組=再春館製薬所=が、初のパリ五輪へ挑む。約1年に及んだ代表選考レースを日本勢トップで終えた実力派エースペア。愛称は2人の名字の頭文字を取るバドミントンおなじみの命名方法で“シダマツ”だ。ペア結成10年目で迎える夢舞台では、2016年リオデジャネイロ五輪で金メダル獲得した高橋礼華、松友美佐紀組以来の頂点を目指す。

 屈託のない笑顔の中に、覚悟をにじませる。歴代の先輩たちの活躍で注目を集めてきた“お家芸”女子ダブルスのエースとして臨むパリ五輪へ。志田が「シダマツらしく悔いのない戦いができたら」と意気込めば、松山も「パリ五輪へ向けた思いは、誰にも負けないぐらい強く持ってきた。金を目指して2人で頑張りたい」と共鳴した。

 2008年北京五輪代表の“オグシオ”こと小椋久美子、潮田玲子組の活躍は、幼少期にテレビで見て育った世代。姉の影響で6歳から競技を始めた志田と、両親と兄弟がバドミントンに打ち込む家庭で育った松山の出会いは、14年のジュニア日本代表合宿だった。

 志田が高1、松山が中3で参加。お互いにパートナーがおらず、ペアを組んだ。即席ではあったが、当時から「一番相性が良かった」(志田)と好感触。15年世界ジュニアで銅メダルを獲得すると、再春館製薬所に入った志田を追いかけて、松山も入社し、本格的に“シダマツ”としての道を歩き始めた。

 思いきりのいい松山が、強打と型にはまらない多彩な攻撃で前衛を担当。心配性で不安を消すために誰よりも練習する志田が、粘り強いカバー力で後衛を担う。このお互いの良さを掛け合わせたスピードのある試合展開が最大の武器だ。

 東京五輪は出場を逃したが、サポート役として本番に帯同し、直前合宿にも参加。本番で日本勢は銅メダル一つに終わり勝負の残酷さを感じたが、それ以上に「次は自分たち」と幼少期から憧れだった舞台への気持ちは強くなった。ここまでの3年間は「パリに行く」、その気持ちだけで戦い続けてきた。

 金メダリストとの即席ペアが、飛躍の転機だった。コロナ禍が明けた21年10月。志田が足の捻挫の治療中に、松山は16年リオ五輪女王の松友と組んで試合に出場した。ともに前衛が本職だが、この大会では松山が後衛を担当。前衛のスペシャリスト・松友の配球、巧みなタッチを後ろから見ることで自身の戦術の幅が広がった。

 さらに後衛を経験したことで、カバー能力も上昇。今では志田が前に出る展開も増え、武器とするスピード感にさらに磨きがかかっていった。志田もコート外から松山の動きを見ることで、今まで以上にパートナーの特徴を理解することができた。

 “けがの功名”を経て再スタートを切ったシダマツは、ワールドツアーで一番位の高い22年全英オープンを初制覇。その後も主要国際大会で表彰台に上り続け、一時は世界ランキング2位に上昇した。五輪選考レースでは日本勢トップを走り抜き、堂々とパリ行きの切符をつかんだ。

 プライベートでは「ちい」、「なみ」と呼び合い、遠征先では「ここに行ってみたいね」と出かけるほどの仲良し。パリ五輪の部屋も同じで「安心しました」と松山は笑顔を見せる。“五輪の魔物”も2人でいれば、何も怖くはない。

 試合では志田が「1本!はい!」と叫び、松山が「はい!」と大声で返答するのが、シャトルを打つ前にお互いを鼓舞し合う合言葉だ。女子ダブルスはリオデジャネイロ五輪まで、2大会連続でメダル獲得した日本勢の得意種目。エースペアのシダマツが、お家芸復活の役目を担う。

 ◆志田千陽(しだ・ちはる)1997年4月29日、秋田・八郎潟町出身。姉の影響で6歳のときに競技を始めた。青森山田中、高出身。3年時は、インターハイ女子ダブルスで優勝した。16年に再春館製薬所に入社。パートナーの松山とは、2014年からペアを組む。大のアイドル好きで、乃木坂46を卒業した山下美月が一番の推し。座右の銘は「なんとかなるし なんとかする」。162センチ。

 ◆松山奈未(まつやま・なみ)1998年6月28日、北九州市出身。両親、兄、姉もバドミントンに打ち込む一家で育つ。九州国際大付中、高出身で、3年時には世界ジュニア優勝。17年に再春館製薬所に入社した。趣味はヘッドスパ。1時間コースで開始10分で寝てしまうのが悩み。幼少期は水泳、エレクトーン、ピアノ、書道を習う。座右の銘は「努力は結果をもたらすわけではなく、努力は成長します」。166センチ。

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