競歩・池田 ドーピング違反の疑いで暫定的な資格停止処分 生体パスポートで疑わしい数値も「身に覚えがない」
陸上男子20キロ競歩で2021年東京五輪と22年世界選手権で銀メダルの池田向希(26)=旭化成=が1日、世界陸連の独立監視部門「インテグリティー・ユニット(AIU)」からドーピング違反の疑いで暫定的な資格停止処分を受けた。池田は2日、旭化成を通じ「全く身に覚えのない理由で今後の試合に出場できないかもしれない状況となり、大変困惑している」などとコメントした。暫定処分の取り消しを求める申し立てを行う。
旭化成によると、禁止物質が検出されたわけではない。昨年6月の血液検査で、血液データを蓄積した「生体パスポート」に照らし合わせてヘモグロビン等の数値に限度を超える変化が見られたという。
今年6月28日にAIUから血液ドーピングの疑いがあるとの通知を受けた。池田側は、練習や体質などに伴う血管内溶血や消化管出血が原因で血液ドーピングによるものではないとの専門家の見解を示して7月24日に弁明書を提出したが、処分を科された。
池田は今夏のパリ五輪は7位で、直近は9月の全日本実業団対抗選手権で1万メートル競歩に出場。来年9月の世界選手権東京大会でもメダル獲得が期待される有力選手で、同年2月には代表選考会の日本選手権20キロ競歩(神戸)が予定されている。
◆生体パスポート 従来の検査方法では検出が難しい「血液ドーピング」などを取り締まるための手法。選手の血液などのデータを蓄積し、その変動を継続的に監視する。赤血球を増やして持久力を高めるために、自らの血液を輸血する血液ドーピングや人体にもともと存在するエリスロポエチン(EPO)の使用などによる異常値を確認できる。世界反ドーピング機関(WADA)が2009年から実用化した。