大の里の強いモチベーションは郷土愛 故郷・石川県津幡町で55年ぶりの地域巡業開催
「大相撲春場所・千秋楽」(23日、エディオンアリーナ大阪)
大関大の里が3場所ぶり3度目の優勝を飾った。本割で大関琴桜を寄り切り、12勝3敗で並んだ高安を優勝決定戦で撃破した。大関昇進後は初制覇となった。春巡業での故郷凱旋(がいせん)に花を添え、夏場所(5月11日初日、両国国技館)では綱とりに挑む。高安は悲願の初優勝を逃したが、技能賞を獲得した。
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大の里の強いモチベーションは郷土愛だ。4月7日に故郷の石川県津幡町・津幡運動公園体育館で同町55年ぶりという地方巡業が開催される。
巡業主催側は「興行的には難しいのですが、大関、そして地元の強い要望で実現しました」と語る。1年ほど前に構想が浮上し、昨年10月に正式発表された。
地方巡業の会場は4000人程度の収容人数が通例という。しかし、津幡運動公園体育館は2500人程度。しかも月曜日開催となるが、主催側は「会場では力士との距離が近く、大の里をより身近に感じてもらえる」とアピール。同町文化会館でのチケット発売初日には町民120人が列を作った。
この日は同町でパブリック・ビューイングが実施され、約300人が歓喜した。津幡町少年相撲教室のコーチとして、小学5年から大の里の指導に関わった現監督の長井恒輝さん(32)も見守った。「本割も決定戦も前に出て良かった。来場所に向けて重圧や、いろんな声が聞こえるでしょうが、一場所ずつ頑張ってほしい」とエールを送った。
夏場所で綱とりに挑む大の里。故郷を愛する男にとって、津幡巡業は大きな励みになる。(デイリースポーツ大相撲担当・山本鋼平)