羽生、今季初戦完全Vも「正直悔しい」

 「フィギュアスケート・オータム・クラシック」(15日、バリー)

 男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)で首位に立った14年ソチ五輪金メダリストの羽生結弦(20)=ANA=が、後半の4回転ジャンプで転倒したものの、高難度プログラムを滑りきり、フリーも1位の184・05点をマークし、合計277・19点で今季初戦を完全優勝で飾った。女子はSP3位の今井遥(22)=新潟県連盟=が合計174・89点で2位となった。

 演技直後、羽生の表情には悔しさがにじんだ。歯を食いしばり、両手を膝について息を整える。自身初めて4回転ジャンプを3本組み込んだ超高難度プログラム。後半の3つ目の4回転で転倒するミス。それでも断トツトップの184・05点をマークした。「点数は思った以上に評価していただいたが、正直悔しい」と首を振り、大粒の汗をぬぐった。

 和笛や太鼓が鳴り響く荘厳な「陰陽師」の新プログラムで、安倍晴明を演じ、和の世界観を表現した。冒頭の2つの4回転ジャンプはサルコーをきれいに決め、次のトーループは着氷で耐えた。「これだけ和の繊細さや力強さを出せるのは僕しかいない」という自負を滑りに込め、前半は音楽に合わせた滑りで観客を魅了した。

 転倒した4回転トーループを始め、後半ジャンプは乱れも出たが、世界屈指のプログラムを滑る中で、抜群の修正能力が光った。後半にトリプルアクセルからの連続ジャンプが単発になったものの、「ぶっつけ本番で初めて」と、急きょその後の3回転ループに1回転ループ、3回転サルコーをつける3連続ジャンプに切り替え、見事にリカバリー。格の違いを見せつけた。

 次戦のGP初戦のスケートカナダ(レスブリッジ)に向け「課題が出た」と自己分析。「課題」という名の“伸びしろ”を埋めた時、五輪王者・羽生はもうワンランク上のレベルへ進化する。

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