政務活動費約７２０万円を支出した政策チラシの架空発注疑惑に揺れる神戸市議・橋本健氏（３７）が２８日、所属する自民党・神戸市議団を通じ、書面で議員辞職する意向を表明した。２９日に議員辞職願を提出する。公金から支出した費用を返還し、時期未定ながら疑惑について公の場で説明する意向も示した。

　２８日午前、同市議団の安達和彦団長が神戸市議会で行われた代表者会議で報告を行った後に会見し、経緯を説明した。同市議団が行っていた事実上の辞職勧告を受け、橋本氏は２８日未明に安達氏に電話で、辞職意思を伝えたという。

　同市議団は今後、疑惑に対して橋本氏から詳細を調査する。ただ、安達団長は、橋本氏が２３日夜に週刊新潮の疑惑報道を受けて開いた会見後から「私の電話にも一切出ない状況だった」と明かした。

　同市議団はなんとか橋本氏と連絡を取ろうとしたが２７日ごろまで消息不明の状況が続いた。ようやく関係者が、同市議団の意向として疑惑を全面的に覆す証拠を示しての反論を行うか、潔く身を引くかの決断を迫ったところ、２８日午前０時半ごろに、安達団長に電話があったという。

　電話は約１時間。安達団長は、橋本氏の様子について「憔悴した様子だった」としたうえで、橋本氏が「吹っ切れた気持ちもある」と話していたことを明かした。

　疑惑の真偽に関しての説明はほとんどなかったといい、報道陣が「当然、聞くべきだったのでは」と追及する場面もあった。

　ただ、会見後に同席していた自民市議は、３日以上、橋本氏と連絡が取れない状況が続いたため「（橋本氏の）身の安全を心配する状況」になっていたと説明。安達団長も２８日未明の電話で、かなり配慮したことも説明し「しっかりコミュニケーションがとれる状況になった段階で、厳しく調査を行う」とした。

　報道陣から、まだ橋本氏は不安定な状況なのかと問われると自民市議は「連絡が常にとれる状況にはなっていない」とし、現状、同市議団としては橋本氏の居場所も把握していないとした。