違反歴ある高齢ドライバーに運転技能検査 警察庁が創設へ

 警察庁は19日、一定の違反歴がある高齢者に対する「運転技能検査」を創設し、免許更新時に試験を義務付ける方針を固めた。コース上で実際に運転する状況を判定し、合格しなければ免許更新できないようにする。衝突被害軽減ブレーキなどを備える安全運転サポート車(サポカー)が条件の限定免許も新設。来年の通常国会に道交法改正案を提出し、2022年度の運用開始を目指す。

 75歳以上が過失の最も重い第1当事者となる交通死亡事故は2018年、前年比42件増の460件発生。今年4月には東京・池袋で旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(88)=自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)で書類送検=が運転する車が暴走し母子が死亡するなど12人が死傷した。免許を更新せずに自主返納する高齢者も増えたが、深刻な事故情勢や将来の高齢運転者の増加に対応するため、技能検査とサポカー限定免許を柱とする対策強化を打ち出した。検査は不合格でも繰り返し受検可能とする。

 警察庁によると、技能検査は指定自動車教習所などで行い、右左折や一時停止などがスムーズにできるかを採点評価する。対象年齢は75歳以上か、事故率がより高い80歳以上とする案が浮上している。

 75歳以上の運転者のうち過去3年で何らかの違反があった人は約2割に上る。検査対象となる違反項目は信号無視や大幅なスピード違反などを検討しており、今後絞り込む。合格者はさらに現行の認知機能検査を受ける流れを見込んでいる。

 サポカー限定免許は本人の申請だけで取得できる制度を想定しており、免許の自主返納を考える高齢者のほか、運転に不安がある人にも新たな選択肢となる。

 対象となる車種は技術実用化の動向を見極めて決める。サポカーは先進安全技術を搭載した車の総称で、ペダル踏み間違え時の急加速防止機能などが付いた高性能なタイプもある。政府は6月、サポカー限定免許について年度内に結論を出すと表明した。

 75歳以上の免許保有者は団塊世代も加わる23年に約717万人に達すると予測されている。

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