死去の坂本龍一さん 環境や平和問題も積極的に発信「僕は国を憂えています」
テクノポップバンド「YMO」の活動や、「戦場のメリークリスマス」「ラストエンペラー」などの映画音楽を手がけた世界的な音楽家で、“教授”の愛称で親しまれた坂本龍一(さかもと・りゅういち)さんが3月28日、都内の病院で死去していたことが2日、分かった。71歳。
坂本さんは環境や平和問題についても積極的に発信してきた。2001年の米中枢同時テロを期に、文化人たちの平和へのメッセージをまとめた本「非戦」を02年出版。雄弁に反戦を語った。07年には森林保全団体「モア・トゥリーズ」を設立。代表を務めた。
「stop rokkasho」、「NO NUKES」などの活動では、脱原発支持を表明。11年3月11日の東日本大震災より前から脱原発の活動を行っていたが、震災で自然の力の大きさに無力感を覚えたことで、環境や原発の問題について積極的に発信を続けていった。同年7月にはフジロックフェスティバルのアトミック・カフェ・トークにYMOで登場。「僕は国を憂えています」と聴衆に語りかけた。
12年には首相官邸前での原発再稼働反対デモに参加。原発事故で廃虚となった町を訪れ、被災したピアノを弾いた。また、音楽監督を務める「東北ユースオーケストラ」を立ち上げるなど、被災地の復興や脱原発の活動に積極的に取り組んだ。
13年の復興支援イベントでは「原発事故は福島の人が悪いわけじゃない。(震災前に原発を)止めるチャンスがあったのに止められなかった日本国民全体の責任」ときっぱり語り、原発再稼働派について「次に(事故を)起こしちゃいけないっていうのが自然な流れなのに、そういう人がいるっていうのが不思議だよね」と理解に苦しむ様子だった。