ナチス占領下のパリで生まれたフランス人歌手が死去 80歳悪性リンパ腫で闘病 映画女優としても活躍
フランス人歌手で女優のフランソワーズ・アルディが死去した。80歳だった。
1944年ナチス占領下のパリで生まれたフランソワーズ、2004年から悪性リンパ腫と闘病していたが今週帰らぬ人となったことが息子から発表された。
フランソワーズと歌手のジャック・デュトロンの間に生まれたトマ・デュトロンはインスタグラムに「ママが亡くなった」と綴っている。
2015年に転倒の後、数週間に渡り昏睡状態となっていたフランソワーズ、その6年後には耳に腫瘍が見つかり、人生が終わりに近づいていると話していた。
1962年に『男の子と女の子』で音楽シーンに旋風を巻き起こしたフランソワーズはボブ・ディラン、デヴィッド・ボウイ、ミック・ジャガーといったアーティストに影響を与えた文化的アイコンとなり、ボブがフランソワーズについて詩を書いたことでも知られている。
メランコリーなバラードで知られるフランソワーズは、『さよならを教えて』『バラのほほえみ』『オール・オーヴァー・ザ・ワールド』といったヒット曲で、「イエ・イエ」と称されるフレンチポップス台頭の象徴に、セルジュ・ゲンズブール、パトリック・モディアノ、ミシェル・ベルジェ、キャサリン・ララといったソングライターとの音楽制作の他、イギーポップやブラーともコラボしていた。
また音楽活動の他にも、映画女優としても活躍、ロジェ・ヴァディム監督の1963年作『スウェーデンの城』やジョン・フランケンハイマー監督の1966年作『グラン・プリ』に出演、ジャン・リュック・ゴダール監督の1966年作『男性・女性』にも短いながら顔を見せている。
更にファッション界では、イヴ・サン・ローラン、アンドレ・クレージュ、パコ・ラバンヌらにミューズとして気に入られたフランソワーズ、2018年のニューヨーク・タイムズ紙の取材にこう話していた。「1960年代半ばにサヴォイでパフォーマンスするためロンドンに来た時、イギリスのプレスは私の曲よりも私の着こなしにより興味を持っていたのが丸わかりだった」
そんなフランソワーズの訃報には多くの著名人が追悼の言葉を発表、『ロード・オブ・ザ・リングス』のイライジャ・ウッドはフランソワーズのモノクロ写真と共に、「オ ルヴォワール(また会いましょう)、フランソワーズ・アルディ」と、ラップグループ、パブリック・エナミーのチャック・Dは「フランスで、ビート採掘者の俺たちはフランソワーズ・アルディのレコードの中にヴィンテージのそれを発見した。レスト・イン・ビーツ(Rest In Beats)」と故人を偲んでいる。