幾何学、デジタルモチーフ・・・21世紀の「陶」とは? 若手作家らの独創的な作品が一同に
「兵庫陶芸美術館」(兵庫県丹波篠山市)の開館15周年を記念した特別展『No Man’s Land』が、3月20日より開催。陶芸の現在と未来を見据えた意欲的な企画だ。
21世紀の今、芸術表現は多様化している。絵画、彫刻といった従来的な分類ではくくれない、複数のジャンルや技法、素材を組み合わせた作品が数多く生み出されているのだ。そんな今、「陶」はどのような存在として成り立つのか。それが本展のテーマである。
出展作家は、独創的な作風で幅広い分野から注目を集める1970~80年代生まれ(30代~40代)の若手実力作家たち。紙のように薄い幾何学的なオブジェを制作する出和絵理、低解像度のCGのようなデジタルモチーフの造形を得意とする増田敏也、螺旋を描く青磁のオブジェで高い評価を受ける木野智史など、15名が参加する。
作品の素材が「陶」ではないものも交じって展示され、展覧会名『No Man’s Land(ノー・マンズ・ランド)』の意味である「複数の異なる領域が重なり合った曖昧な状態」をそのままに感じることができる本展。彼らの作品が一堂に会する時、一体何が見えてくるのか。陶芸の未来に思いを馳せながら鑑賞したい。期間は5月30日まで。
文/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)