「ボクシング８回戦」（１９日、ＫＢＳ京都ホール）

　ＷＢＣ世界バンタム級９位でＯＰＢＦ東洋太平洋同級３位、日本同級２位の大森将平（２１）＝ウォズ＝は昨年新人王の見高文太（大阪帝拳）を３回４７秒ＴＫＯで沈め、デビュー１３戦１３勝（８ＫＯ）を飾った。“京都で世界に最も近い男”が標的とするＷＢＣ同級王者・山中慎介（３２）＝帝拳＝へ向け、また着実に一歩前進した。

　地元京都でのメーン戦で自ら命名した「魔の左」がさく裂した。「始めは固かった」と言うが、２回、ジャブにのけぞる見高に「効いている」と、手応えをつかんだ。

　３回、代名詞の強烈な左ストレートをアゴに見舞うと、フィニッシュまで一気。左右の連打でボコボコに殴ると、見高はロープ際でずり落ち、レフェリーが試合を止めた。

　５月の前戦でエスキベル（メキシコ）を４回ＫＯし、今回が世界ランク入り後初戦。「背負うものがあり、期待も感じた」と言う中、重圧をはねのけての圧勝劇だった。

　南京都高（現京都廣学館高）の先輩・山中の「神の左」を映像で研究。「ねじる意識で肩を入れるパンチを練習してきた。筋トレもやってきたし今までの感触と全然違う」と試合ごとに「魔の左」の威力は増している。

　次戦はいよいよタイトル獲り。東洋太平洋王者・岩佐亮佑（２４）＝セレス＝を標的に「勢いもパンチ力も僕の方が上。声があれば受ける」と対戦を熱望した。世界チャンスを狙う強敵・岩佐を撃ち、ベルトを奪取。来年、山中への挑戦権を得るのがシナリオだ。

　「先輩を越えるためにやってきたし、一気に追い付きたい。ともに左が武器。でも“神”と“悪魔”だったら負けるなあ。ゴースト・レフト（消える左）にしようかな…」と、「打倒・神」へ頭を悩ませた。