【野球】ヤクルト・山田哲は“失敗しないので” ズバぬけた盗塁成功率・955
ヤクルト・山田哲人内野手(26)が22日の中日戦で2盗塁を決め、2年ぶりに20盗塁をマークした。リーグトップの数だけでなく、特筆すべきは盗塁死がたった1という成功率。その土台には、14~15年頃に三木肇・現2軍チーフコーチ(41)と日々磨き上げた盗塁技術がある。
「私、失敗しないので」。人気ドラマの主人公ばりに、山田哲の盗塁成功率はズバぬけている。今季は企図22回中21回成功で・955。両リーグの盗塁各10傑で失敗1は最少。西川(日本ハム)と2人だけだ。
盗塁の“師匠”はいるのか。尋ねると「興味を持ったのは、三木さんに教わってから。いろんな練習方法もやったしね」と間髪入れずに返ってきた。まな弟子に名前を挙げられた三木コーチは「うれしいけど、おこがましい」と笑う。そして「本人が興味を持って取り組めたことが一番」と目を細めた。
盗塁に関して、三木コーチは7つのパートに分けて練習を行う。構え、帰塁、リード、走路、スライディングなど。実戦でのトライアンドエラーを繰り返しながら「この3日間はスライディング」というように、細かく分けて技術を磨いた。
基本はあっても型は選手それぞれ。7つに分ける理由は「自分の盗塁を確立した時、どこが悪かったのかが分かる」からだという。指導者と一緒に自分の型を作り上げる過程で、選手は興味を持ち、自ら技術について考えるようになる。
最重視する点は「構え遅れない」こと。投手がセットポジションに入る前に、いつでもスタートを切れる体勢を整える。確かに山田哲は常に投手より早く準備が完了している。
そして、山田哲が一番自信を持っているのが帰塁技術。当初は浮き気味だった姿勢を、飛ばずに低く速く帰るように反復練習で矯正していった。三木コーチも「哲人は行こうとして戻る帰塁がすごくうまい」とけん制死しない理由に挙げた。
帰塁に自信があるからこそ、思い切ったスタートが切れる。抜群のスピードと確かな技術を両輪に、16年には93・8%という02年・谷(オリックス)以来の成功率9割超えでの盗塁王に輝いた。
「走塁で試合を勝たせることができる選手になろう」と声をかけていたという三木コーチは「僕もすごく勉強になった。まだ興味を持ってやっていって欲しい」とさらなる成長を願った。22日までの中日3連戦では、勝負どころで得点に直結する盗塁が光った山田哲。3度目のトリプルスリー、そして“失敗しない盗塁”で圧倒的な存在感を示してくれそうだ。(デイリースポーツ・藤田昌央)
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