【野球】稲葉監督が願う侍ジャパンの在り方「学びの場であってほしい」
野球の国際大会「プレミア12」で世界一を狙う日本代表「侍ジャパン」が、1次ラウンドの舞台・台湾に入った。10月21日の集合から10日強。カナダとの強化試合を含め、4試合の実戦を行い、準備を重ねてきた。その中で、本職でないポジションを守る選手も複数にわたった。
本職が遊撃の坂本や源田が三塁を守り、二塁の浅村や山田が一塁へ。近藤は「初めて」という中堅にも入った。限られた人数の中で戦う国際大会。メンバーのバランスや、不測の事態に備える意味合いが強い一方で、稲葉監督にはもう一つの狙いがある。
「こういう機会なので(経験の浅いポジションで)やってみるというのも、選手にとってはこれからの成長につながっていけるでしょう」
日本の野球界を代表する28人をそろえて戦う。その絶対的な目的は勝利であることは間違いない。複数ポジションは、そのための選択肢を増やすことにもつながる。ただ、その結果のみで終わらせてほしくない。指揮官は代表のあり方について、持論を明かす。
「ジャパンというのは学びの場であってほしいというのが僕の中の考え方にあってね。ただただ勝つためだけにやるのではなく、何かそこには自分の成長につながるものを見つけられる場にしてほしいので」
普段は交わらない選手同士のコミュニケーションから得られるものもあれば、所属チームとは違った役割で、見えてくるものもあるかもしれない。代表でしか経験できないことを、その後の野球人生に生かしてほしいという思いが、指揮官にはある。
10月31日のカナダ戦。秋山が死球で途中交代後、近藤が中堅に入り、翌日の同戦は先発で中堅を守った。初めて中堅に入った練習試合後「コンちゃんのセンターはあまりないかな」と話していた指揮官だったが「無難にやってくれていたので、選択肢が広がった」と評価した。わずかな期間での適応に目を細めた。
5日からは世界一を勝ち取る戦いが始まる。目の前の一戦の勝利のためだけにタクトを振る指揮官。選手には大会や、そこに至るまでの合宿を通じて、結果とは別の“プラスアルファ”を持ち帰ってくれることを願っている。(デイリースポーツ・野畑圭司)
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