珍名ボクサー最暴愚「全国区になる!」
珍名ボクサーで注目を集める大阪の六島ジムで今年、半端ない覚悟で雪辱を誓う男がいる。ボクシング日本フライ級13位の最暴愚畷谷(さいぼうぐなわてだに)だ。
目と足に加え、下半身のある部分の余った皮を切除する手術を行い、肉体を“チューンアップ”したことから命名。昨年は2度目の新人王獲りに失敗しながら、11月24日に世界王座挑戦経験もある日本フライ級14位・戎岡淳一(明石)を判定で下し、ランカー入り。25歳にして「全国区になる」野望へ第一歩を踏み出した。
だが誤算があった。昨年末の全日本新人王決定戦で珍名では“後発組”となる同ジムのジャンボおだ信長本屋(のぶながしょてん)ペタジーニ(26)、前原太尊康輝(20)がともに勝ち話題に。前原はMVPにも輝き、知名度で2人に完全に遅れを取った。
「ランカー入りしてよしっと思っていたら、六島ジムは2人の名前ばかり。僕は指をくわえて見てるしかなかった」と唇をかむ。
今年は存在をアピールするために、なりふりかまっていられない。「2人に負けず目立つことをする。ジャンボが20歳上の彼女なら、僕は体重100キロの彼女を作る。名前を『最暴愚曙太郎畷谷』にしてもいい」と改名も辞さず。さらに「プロなんで目立ってなんぼ。おかまでも、僕は行けますから」と、今年は“二刀流”のサイボーグへと進化することも視野に入れた。
ボクサーとして上を目指す目的は一つ。「キャーキャー言われたい。おっかけギャルとか欲しい。ただ僕には井岡選手(WBA世界ライトフライ級王者)のような才能はない。せこい手でも何でも使う」。今年はうま年にちなみ、馬のかぶり物でリングに登場する考えだ。母や大学生の妹からは恥ずかしさのあまり、口も聞いてもらえないが決意は固い。
同ジム・枝川会長は「最暴愚の決意は誰よりすごいし練習熱心。六島ジムの新人ランカー三羽がらすが競い合って成長して欲しい」と期待を込める。
その新人ランカー3人衆の次戦は4月20日、「610ヤングフェスティバル3」(住吉区民センター)。最暴愚の相手は中沢翔(大鵬)に決定。全日本新人王を制し、MVPを獲得した日本ミドル級10位の前原は大橋寛志(京都拳闘会)と、新人王で日本スーパーライト15位のジャンボは金本祥平(グリーンツダ)と対戦する。
前原は「回りの人の支えがあって、今がある。早くプロとしてボクシング1本で生活していきたい」と気合。
ジャンボは年明けに友人とクラブに行った際、ナンパした女性に新人王の肩書きが通用しなかったことに奮起。「チャンピオンベルトを巻いてクラブに行くくらいにならないと」と、王座への思いを強くしていた。