元東洋太平洋ライト級王者・中谷正義「35歳前に社会人4回戦デビューです」引退パーティーに村田諒太氏、清水聡、徳山昌守氏ら
プロボクシング元東洋太平洋ライト級王者で5月に引退を表明した中谷正義(34)の引退記念パーティーが15日、地元大阪で行われた。帝拳ジム同僚だった五輪金メダリストで元WBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太氏、五輪銅メダリストの清水聡(大橋)、元WBO世界ミニマム級王者の山中竜也(真正)、元WBC世界スーパーフライ級王者の徳山昌守氏ら、約160人が新たな門出を祝福した。
昨年11月、WBOアジアパシフィックライト級王者の吉野修一郎に挑み、6回TKO負け。今年5月に自身のSNSで引退を発表。「一番は体がもう結構、ガタガタで。だましだましやっている感じだった。勝っている間はなかなかそういう決断ができなかった。吉野戦が自分に決断をさせてくれた。あのまま長くやっていても無理やったと思う」と、引退理由を明かした。眼窩底(がんかてい)骨折は3度、腰痛も抱え燃え尽きた。
中谷は東洋太平洋王座を11度防衛。2021年には元世界3階級制覇ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と米国ラスベガスで対戦し、9回TKOで敗れたものの、世界的に屈指の選手層、人気を誇るライト級で日本の第一人者として世界で活躍した。プロ戦績は23戦20勝(14KO)3敗。
世界王者には最後まで手が届かなかった。「自分の目標というより、これだけ長いことボクシングをするのはいろんな人の支えがあってできていたこと。そこに返したい気持ちで結果につなげたかった。そこの部分で未練はあるけど自分の中ではそういう運命だったと受け入れている」と、34歳、悔いはない。
歴戦の猛者もパーティーは別物。「試合は寝られない日はなかったけど寝られなかった。何回もきのうは起きた。睡眠不足です。ロマチェンコの時より緊張している。ロマチェンコ戦の前はぐっすり眠れた。ロマチェンコを超えた」と笑わせながら、丁寧に各テーブルを周り感謝を述べる姿に人柄がにじんだ。
波乱のボクサー人生だった。名門の興国高出身。世界4階級制覇王者の井岡一翔(志成)、元WBA世界ミニマム級王者の宮崎亮らと同級生で全国制覇した。近大に進み、井岡ジムで井岡、宮崎と切磋琢磨(せっさたくま)し、2011年にプロデビュー。182センチの長身を生かしたアウトボクシングと感情むき出しの激しいファイトも魅力だった。
ようやく2019年7月に米国でIBFライト級挑戦者決定戦として、のちにロマチェンコを破り、ライト級の3団体統一王者となるテオフィモ・ロペス(米国)と対戦し、惜しくも判定で敗れ、一度は引退を発表した。
だが村田諒太氏が「もったいない」と手を差し伸べた。村田氏が帝拳・本田会長との橋渡しをしてくれて帝拳ジムに移籍した。
現役復帰いきなり20年12月、米国でWBOインターコンチネンタル・ライト級王座をかけて世界的強豪フェリックス・ベルデホ(プエルトリコ)と対戦。2度のダウンを奪われながら、9回TKOで大逆転勝ちした。その後、日本選手では最大級の評価の証明となるロマチェンコ戦が実現した。
一番の思い出を問われると「ベルデホですね」と即答。「村田さんにサポートしてもらって、自分が本田会長に会うなんて思っていなかった。自分が帝拳に入って、試合させてもらえるとは思ってもみなかった。会えばあいさつするくらいだった村田さんが、いい選手をもったいないというだけで僕にチャンスを与えてくれた。恩をすごく感じている」と、恩返しにもなった。
村田は中谷が高校3年時、インターハイで相手選手の肩にかみついたことを覚えている。「まさかかむとは。その中谷と一緒に練習するとは思ってもみなかった」と笑わせながら、「感情的になってしまうのも真っすぐな男。今後もサポートをお願いします」と、頭を下げた。
記録にも記憶にも残る日本中量級で一時代を築いた中谷。今後はボクシング界発展のため、アマチュアジムの経営などを目指す。
今は大阪で興国高、近大時代の同僚、岡山翎洙氏が立ち上げたジムでトレーナーをしながら、来年以降、独立準備を整えている。
「今はガチガチの勝敗のところは離れたい気持ち。でも戻ってくるとは思う。言うても勝負師なので。なんにせよ初めて。ずっとボクシングをやっていたから。普通の人とボクシングを通して話すのが当たり前だった。自分のことを知らない人もいる。全然、そこでギャップがあって何を話していいか分からない。試合の組み立てができない。ジャブを打てない選手。もう手が出ず沈黙があって難しい。社会人4回戦でデビューしました。35歳を前に社会人デビューした」と、一歩ずつ第二の人生を歩む。
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