弟・拓真が語る「偉大な兄」井上尚弥とは 追いかけがいのある「永遠のテーマですよ」

 「ボクシング・4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」(3日、有明アリーナ)

 WBA世界バンタム級王者の井上拓真(28)=大橋=は、生まれた時から兄の尚弥を見てきた。常日頃から練習を共にしており、同じ日に試合をすることもある拓真が、弟から見た尚弥像を語った。

 ともに世界王座を防衛した5・6東京ドームは、ボクシングの枠を超えて大きな話題を呼んだ。兄弟そろって初回にダウンを喫するも、その後は実力差を見せつけて完勝した。

 「あれはあれで面白い日だったんじゃないですかなんて、自分たちも思います。ただ(尚弥がダウンした時は)時が止まりましたね。ホントにぼうぜんというか、え、まさか!みたいな、驚きがすご過ぎて。あのダウンがなければ、一方的な展開だと思うんですけど。でも、そこもボクシングの怖いところであって、そういう経験もできて良かったんじゃないですかね」

 日本ボクシング史上最大のイベントを経て、弟から見る尚弥の現状はどうなのか。

 「そこは一区切りとして、また次、先を見据えてやってる感じはありますね。常に上を見ているというのは感じます」

 尚弥は今や世界屈指のスーパースター。弟であり同じボクサーの拓真は常に、先行してとてつもない実績を積み上げていく兄を追いかけなければならない。

 「常に追いかけてる気持ちは変わらないですね。ボクシングに関しての考え方とか練習に取り組む姿勢とか、見習わないといけない部分はたくさんあります。どこをどう変えなきゃいけないとか、どこを伸ばさなきゃならないというのをホントに分かってるのが、見ていてすごい。ちゃんとそういうところも修正できているので」

 プライベートでも、兄弟仲は良好だという。

 「変わらず昔から。ずっと一緒にボクシングしてきましたし、兄弟仲はいい方だと思います。(一緒に)出かけることもありますし。友達感覚のような感じで、ふざけたりもするんで。ホントに兄弟仲良くやってます」

 仲がいいだけではない。これまで兄に反発することもなかったという。

 「小さい時は、がむしゃらについていっている部分もありました。デビューしたての時とか、自分が世界チャンピオンになれるなんて思っていなかった。兄についていって段階を踏んでいって、世界戦とか、そこらへんの景色を見られるようになった時に、“世界チャンピオンになりたい”っていう気持ちはめちゃくちゃ出てきましたね」

 今年2月24日、IBF世界スーパーフライ級王座を9度防衛した名王者ジェルウィン・アンカハスを右ボディーでKOした防衛戦は、大橋秀行会長が「今日は兄貴を超えたな」と絶賛した。自己のスタイルを確立した拓真だが、尚弥を追いかけがいがある「永遠のテーマですよ」と言う。

 兄が止まることなく強くなることで、追う弟もまた止まらず強くなる。兄弟ボクサーの理想像が、そこにある。

 ◆井上拓真(いのうえ・たくま)1995年12月26日、神奈川県座間市出身。アマチュア戦績57戦52勝(14KO)5敗。2013年12月にプロデビュー。15年に東洋太平洋スーパーフライ級王座、18年にWBC暫定世界バンタム級王座、21年にWBOアジアパシフィックスーパーバンタム級王座、22年に日本同級王座、23年にWBA世界バンタム級王座を獲得した。プロ戦績20勝(5KO)1敗。身長164センチ、リーチ163センチ。右ボクサーファイター。

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