上新粉、だんご粉、もち粉、白玉粉…すべて米粉!? いったい何が違うのか、製粉技術の進化で生まれたものとは

 「10倍がゆは、上新粉なら数分で作れる」という記事に、上新粉はお米を粉にしたもので、近年米粉として販売されているものとは粒の大きさが違うだけだということに「知らなかった~!」と驚く声が寄せられていました。あらためてスーパーで見てみると、上新粉、だんご粉、もち粉、白玉粉などのほか、最近はお菓子やパンに使えるという米粉がならんでいますが、いまいち違いがわかりません。そこで日本米粉協会に聞いてみました。

 まず、上新粉や白玉粉などはすべて米粉です。大きく分けて、原料が「うるち米」か「もち米」かの違いと、米を熱処理するかしないかで分類されます。うるち米は普段食べているお米と同じですから、原料がうるち米になる「上新粉」や「乳児粉」でおかゆが作れるということになります。

 ほかに、うるち米ともち米が混ざっているものに「だんご粉」や「上南粉」があり、もち米から作られているものが「もち粉」や「白玉粉」などになります。米粉の種類が多い理由は、長い歴史の間に用途に合わせたさまざまな粉が生まれたからのようです。

 和菓子を作られる方は米粉を使い分けていると思いますが、一般的にはレシピに白玉粉と書いてあったから白玉粉を買った…くらいの使い分けではないでしょうか。たとえば上新粉なら草餅や柏餅、もち粉や白玉粉は大福餅や求肥に使われますが、用途がかぶっているものもあります。

 ここまで紹介した米粉は、杵でつく(胴搗き)、金属製の2本のロールに通過させる(ロール挽き)、浸漬した米と水を一緒に石臼に入れて粉砕する(水挽き)という方法で製粉されています。ところが約30年前に、これまでとは異なる新しい製粉技術が生まれました。それが「気流粉砕」で、ジェット気流でお米を粉砕する方法です。今までの米粉が500円玉の大きさなら、気流粉砕では1円玉より小さな粒にすることができ加えて、加熱をおさえることができるためデンプンの損傷が少なくすみます(デンプンはもっちり感ややしっとり感に影響します)。

■微細な米粉が誕生、お菓子作りに使えるように

 気流粉砕で米粉をより微細にできるようになったことで生まれたのが、パンやケーキなどに使える「米粉」です。米の新たな需要開発にあたる「日本米粉協会」(東京都千代田区)のアドバイザー・高橋仙一郎さんは「従来の米粉ではパンや洋菓子は作れませんでしたが、新規米粉は小麦の代替えだけでなく、米粉独特の良さが認知されるようになりました」と話します。

 この細かい米粉「新規米粉」なら、小麦粉を使うレシピは、ほぼすべて米粉に代えて使えるそうです。米粉の具体的な使い方や特徴は下記の通りです。

・ダマにならないので、ケーキやホワイトソースを作るときに、ふるわずに使うことができる

・吸油率が低いので、天ぷらや唐揚げなどを少ない油で揚げることができ、カリッとするほか、カリカリ感も長持ちする(小麦粉に米粉を2割くらい混ぜるのがおすすめ。上新粉でもOK)

・パンやピザ生地に2割くらいいれるとしっとり感やもちもち感をプラスできる(米粉にグルテンを加えたパン用米粉のミックス粉なら全量米粉で作れる)

・グルテンを含まないので、小麦アレルギーの人も食べられる

 高橋さんは「小麦粉に比べて米粉の価格が高いと言われてきましたが、工場出荷価格は逆転してきています。米粉用の原料米の価格は法律で守られています。人件費や配送運賃などは高くなりますがそれは小麦粉も同じです。米粉に目を向けていただきたい理由は他にもあります。日本の食料自給率が下がり続けているなかで、自給自足できるのはお米なんですよ。種も、去年とった種を植えて苗にして繰り返している、再生産可能な穀物なんです。そういうことも含めて小麦に代わる米粉を使っていただきたいと思って活動しています」と話しています。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 浩子)

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