新NISA開始から1年、みんなはどう使ってる? データから見えてくるNISA利用者の実態を解説

2024年1月にNISA制度が変わってから1年が経ちました。以前と比べてNISAという言葉を聞く機会が増えました。これまで投資に馴染みのなかった人たちの間でも、新たなNISA制度での資産運用に関心が高まっています。

日本証券業協会による調査が今年2月に公開され、この1年間で新NISAはどう利用されているかが見えてきました。たとえば、「どれくらいの金額を新NISAへ投資しているのか」「どんな商品を選んで買っているのか」など、利用者の姿を知ることができます。

調査結果を見てみると、年収が高い層だけではなく、さまざまな人たちが新NISAを利用している様子が窺えます。

■どのような年収の人が投資しているのか?

新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が用意されています。

2つの枠の大きな違いは、どんな商品に投資できるかです。「つみたて投資枠」は投資信託のみが対象なのに対し、「成長投資枠」は上場企業の株式なども対象となります。それぞれの枠ごとに、年間で投資できる金額の上限なども設定されています。

2024年の1年間、それぞれの枠でいくら投資商品を購入したかを見てみましょう。「つみたて投資枠」の平均購入額は、1人あたり47.3万円でした。一方で、「成長投資枠」の平均購入額は1人あたり103.3万円です。

一見すると、「まとまった収入のある人だけが利用している」と思うかもしれません。

しかし年収別の利用状況を参照してみると、違う景色が見えてきます。年収別では、年収300万円未満の利用者がもっとも多く、全体の4割近くを占めています。次に多い年収層が300万円~500万円未満で、利用者全体のおよそ28%となりました。

新NISAは、高所得者だけが活用している制度ではありません。少額ながら新NISAを使っている人も多いのです。実際に購入額のデータを詳しく見てみると、「成長投資枠」を使った利用者の4人に1人は、年間購入額が20万円以下でした。

■投資資金はどこから準備しているのか

新NISAで投資をしている人たちは、元手となる資金をどうやって準備しているのでしょうか。

新NISA利用者のデータを見ると、購入資金のおよそ75%は「預金・給与所得・年金」を元手にしていました。働いて得られた給与や定年後の年金をもとに、少しずつ投資を進める姿が思い浮かびます。60代の利用者の中には、退職金を充てた人も2割ほどいます。

株式運用と聞くと、株を売って得たお金でさらに株を買って…という姿を想像する方もいるでしょう。しかし、株式などを売却して、さらにNISAを活用すると答えた人は多くありません。

調査結果を見てみると、旧NISAで買った資産(株式や投資信託など)を売却した資金を充てた人は12.8%、NISA以外の口座で買った資産を売却して投資した人は11.2%でした。

普段の暮らしの中で少しずつ資金を作り、投資をしている人が多いと考えられます。新NISAは少額からの購入も可能であり、「投資のためにまとまった資金を用意しなければならない」というわけではありません。

■どのような商品を購入しているのか?

新NISAで投資する人は、どのような商品を選んで購入しているかも見てみましょう。

つみたて投資枠は投資信託のみに投資できます。投資信託の中でも「インデックス型・全世界株式(日本を含む)」へ投資している人が最も多い(36.8%)結果となりました。次に多かったのは「インデックス型・全世界株式(日本を除く)」です(18.5%)。 

「インデックス型」は、日経平均株価などの代表的な指数に近いリターンを目指す商品です。手軽に分散投資ができ、運用コストも低いため、初心者も含め多くの人気を集めています。先進国・途上国をともに含む「全世界型」であれば、高いリターンも期待できます。

成長投資枠では、「国内株式」を購入した人がもっとも多い(48.8%)です。成長投資枠で株式が買われることで、日本国内の上場企業に対する投資を後押ししていると考えられます。

■新NISAを始めたきっかけは?

新NISAはたくさんの人に利用されるようになっています。新NISAを始めたきっかけについては、下に挙げる回答が多く集まりました。

・「SNSやインターネットで情報を見て興味を持った」(25.8%)

・「新NISAで制度が大幅に改善されたことを知った」(23.5%)

20代の比較的若い層では、「家族や友人に勧められた」「周囲で始める人が増えた」がきっかけとなった人も17~19%ほどいました。年齢層が高くなるにつれ、代わりに「新聞や雑誌でNISA関連の記事を見た」と答える人が増えます。

さまざまな経路で新NISAに関する情報が広がったために、新NISAへの認知が高まり、新たな投資者の拡大につながったと考えられます。

◆新居 理有(あらい・りある)龍谷大学経済学部准教授 1982年生まれ。京都大学にて博士(経済学)を修得。2011年から複数の大学に勤め、2023年から現職。主な専門分野はマクロ経済学や財政政策。大学教員として経済学の研究・教育に携わる一方で、ライターとして経済分野を中心に記事を執筆している。

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