「放っておけなかった」歩道脇の子猫4匹と、母亡くした飼い主 食べニケーションで信頼築く
2024年9月末の夜、X(ツイッター)ユーザー・らっきょさん(@rakkyo_suki)は自転車で帰宅中に、歩道脇の植え込みで遊ぶ子猫と目が合いました。
その場にいたのは、母猫と4匹の子猫たち。翌日も猫たちが心配で現場に戻った飼い主さんは、近隣住民からこの場所で猫が繁殖していることを知ります。
「このまま放置したら大変なことになるのではないか」
飼い主さんは、悩んだ末に保護を決意したのです。実母を病気で亡くしてから半年あまり、心に空いた穴を埋めるように日々を過ごしていたときのことでした。思いがけず、新たな日々が始まったのです。こうして、マルちゃん、メルちゃん、ルルちゃん、ハルくんの4匹が家族の一員となりました。
■運命の出会いと4匹の保護までの経緯
子どものころから動物が大好きだった飼い主さんは、近年は個人的に保護団体への寄付を続けてきました。しかし、自宅には12歳の犬と2人のお子さんがいるため、新たに動物を迎えることは考えていなかったといいます。そんなある日、偶然が運命を変えました。
「歩道脇で遊ぶ子猫と目が合ったんです。周りには数匹の猫がいて、夜でも人や車が通る場所だったので、無事でいられるのか心配になりました」
気になって現場に戻ると、猫たちは近隣の女性からご飯をもらっていました。しかし、女性に尋ねてもはっきりとした説明はなく、深く尋ねることも難しかったそうです。その夜、帰宅してからも猫たちが気になり、一晩中悩んだ飼い主さんは保護団体に相談しました。
「費用は自分で負担することを伝えて、捕獲や避妊手術を手伝ってもらいました。本当に助かりました」
母猫は避妊手術後に元の場所へ戻されましたが、飼い主さんは4匹の子猫を自宅に迎えることを決意しました。実母を亡くしたばかりで、子猫たちの生まれた時期が母の命日と近かったことに深い縁を感じたといいます。
「母も猫が好きでした。あの子たちを放っておけなかったのは、何かのご縁だったと思います」
■慣れるまでの試練と少しずつ近づく距離
マルちゃん、メルちゃん、ルルちゃん、ハルくんは外で育ったため、警戒心がとても強く、人に慣れるまでには時間がかかりました。
「家に来た当初は、ケージの横を通るたびにシャーシャー威嚇され、パンチもよくされました。ケージから出してみたものの、戻れなくなって猫も人間もパニックになったこともあります」
初めのうちはご飯を食べていたものの、慣れない環境に不安を感じたのか、途中で食欲が落ちることもあったそうです。そんな中でも飼い主さんは、猫たちと距離を縮めようと根気強く向き合ってきました。
「手からちゅーるをあげたり、おもちゃで遊んだり、習字の筆でなでて“食べニケーション”を続けました。少しずつ意思疎通ができるようになってきたんです」
今では「ケージに戻ってね」と声をかけると戻ってくれることもあり、近くで安心して眠るように。触らせてくれる日もあれば、まだ警戒してパンチをすることもありますが、飼い主さんは猫たちのペースを尊重しています。
■家族の絆と猫たちがもたらす癒し
4匹の存在は家族にも大きな変化をもたらしました。最初は猫を飼うことに反対していた夫も、飼い主さんの想いを理解してくれるようになり、今では仕事から帰宅後に猫たちと遊ぶことが日課になっています。4歳と10歳のお子さんたちも猫ファーストで接し、脱走防止の戸締まりに気を配るようになりました。
「犬と猫はまだ完全に馴れていませんが、お互い無理のない距離感で過ごしています。犬が意地悪をしないことが本当にありがたいです」
猫たちはそれぞれ個性的です。長女のマルちゃんは母猫代わりのように他の子を守る頼れる存在で、言葉もよく理解しています。メルちゃんは見た目こそ女の子らしい雰囲気ですが、遊びの天才で、冷蔵庫の上に乗るのが大好きです。ルルちゃんは単独行動を好みつつも、ご飯の時間になると一番乗りで手から食べてくれる甘えん坊です。末っ子のハルくんは、最初から威嚇もせず穏やかで人懐っこい性格をしています。
「4匹とも本当に賢くて、トイレの失敗は一度もありません。ご飯の奪い合いも喧嘩もせず、お互いを思いやっているのが伝わってきます」
猫たちが家に来てから、飼い主さん自身も心が軽くなり、私生活や仕事が以前よりスムーズに進むようになったそうです。
「猫たちがくれる癒しとパワーは本当にすごいです。元気に遊ぶ姿や安心してくつろぐ様子を見ていると、この子たちがここで幸せでいてくれるなら、それが一番だと思います」
■これからも一緒に歩む未来へ
まだ完全には人に慣れていないものの、少しずつ心を開き始めたマルちゃん、メルちゃん、ルルちゃん、ハルくん。飼い主さんは改めて、この子たちとの出会いと一緒に過ごす日々に感謝しています。
「突然お外の生活から我が家に来てくれたこと、母猫と離れて頑張ってくれていることに心から感謝しています。どの選択が正しかったのかはわからないけれど、元気で長生きしてほしいという気持ちは変わりません。これからも猫たちのペースで、一緒に暮らしていけたら嬉しいです」
マルちゃん、メルちゃん、ルルちゃん、ハルくん。それぞれが特別な存在となり、家族に笑顔と温もりをもたらしています。猫たちの穏やかな寝息が聞こえる家は、今日も幸せに包まれていました。
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)
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