患者団体、引き上げ凍結訴え続け 高額療養費「議論に加えて」
がんなどの患者団体は「高額療養費制度」の負担上限額引き上げ方針の凍結を求め続けてきた。受診抑制を招いて「命に関わる」と危惧したためだ。声は政府、与野党に届き、7日夜に記者会見を開いた団体の幹部らは、全面凍結の判断に謝意を示しつつ「秋までに決めるのは期間が短い」「患者団体を議論のプロセスに加えてほしい」と訴えた。
政府が上限額引き上げを決めたのは昨年12月。平均的な年収区分(約370万~770万円)のうち、所得が高い層では2027年8月に上限月額が現行制度に比べ約5万9千円増の約13万9千円となる内容だった。全国がん患者団体連合会(全がん連)などは今年1月に「治療を諦めざるを得なくなる」とした患者らのアンケート結果を発表。2月12日には福岡資麿厚生労働相と面会し、引き上げ反対の署名約13万5千筆を渡した。
石破茂首相は7日になって全面凍結を表明。ステージ4の肺腺がんと闘う水戸部ゆうこさん(50)は取材に「夏の参院選が終わったら、また話が進みそうで心配。患者などを交えたオープンな議論が必要」と話した。