オウム元死刑囚「絞首刑は残虐」 生前獄中で自ら研究
1995年3月の地下鉄サリン事件などに関与し、18年に死刑が執行されたオウム真理教元幹部の中川智正元死刑囚=執行時(55)=が生前、拘置所内で絞首刑に関する研究を重ねていたことが15日、分かった。弁護人を務めた後藤貞人弁護士が明らかにした。国内外であった過去の執行事例を調べたほか、法医学者ともやりとりし、結果は上告趣意書に盛り込まれたという。
中川元死刑囚は一、二審で死刑とされ、弁護団は上告審で「絞首刑は死刑囚の首を切断する恐れがあり、残虐な刑罰を禁止した憲法に違反する」と主張。最高裁は11年11月、過去の判例を引用する形で残虐性を否定して上告を棄却し、死刑が確定した。
後藤弁護士によると、中川元死刑囚は科学的に絞首刑の残虐性を立証するため、友人ら支援者の協力を得て海外の事例のほか、官報や、国内の刑執行の様子を取材した明治期の新聞記事などを収集。国内外で死刑囚の首が切断された事例が複数あることを確認した。
法医学者とやりとりし、執行後も死刑囚の意識が一定期間残る可能性があるとの意見を得た。