75歳以上はATM上限30万円 1日取引額、警察庁検討
高齢者が巻き込まれる特殊詐欺被害が深刻化している状況を受け、警察庁が、75歳以上の人がATMを利用する際の1日当たりの限度額について、引き出し、振り込みともに30万円に制限する方向で検討していることが25日、同庁への取材で分かった。犯罪収益移転防止法の施行規則の改正が必要で、具体策などについて全国銀行協会などと調整を進める。
ATMの利用限度額は現在、各金融機関がそれぞれ決めており、制度で一律に制限するのは初めてとなる。特殊詐欺では近年、インターネットバンキングの悪用が目立っているが、高齢者らをATMに誘導し、指定口座に振り込ませる手口も依然として多く、対策を強化する。
政府が昨年6月に取りまとめた「国民を詐欺から守るための総合対策」で、金融機関による預貯金口座のモニタリング強化などとともに、高齢者のATMでの引き出し限度額を少額とする方針を示していた。
政府は今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、施行規則を改正する方針。金融機関のシステム改修も必要となり、施行までには一定の時間を要する見通し。