4番大山、1号 お待たせ実戦10試合目
「オープン戦、ソフトバンク7-2阪神」(3日、ヤフオクドーム)
降り続いた雨が上がり、太陽の光が差した。阪神・大山がぶち上げた、2019年の幕開け弾。三塁ベースを力強く蹴る。白い歯が輝き、久しぶりに笑みがこぼれた。待望の今年1号。真っすぐ伸びていった白球を見届けると、小さくほえた。
不振を一掃する一振りだった。快音響かせたのは初回。2死二塁で巡った第1打席。ミランダが投じた145キロの低めの直球を狙った。フルスイングで一閃(いっせん)。着弾前から、左翼席に詰めかけた虎党も一斉に立ち上がった。願いのこもった白球が左中間テラス席のネットを静かに揺らした。
ただ試合後の大山の表情は厳しく、険しいものだった。「ミスショットせずに一発で捉えられたことはよかったですけど。でも1本ではダメなので…」。脳裏にあるのは、その他の打席結果だ。チャンスで打順が回るのが4番の宿命。五回には2死満塁の場面で鋭い打球を放つも一塁手に阻まれ、仕事を果たせなかった。
それでも矢野監督は「しっかり捉えた打球だった」と話し、「紙一重の当たりだった」とは浜中打撃コーチだ。状態は間違いなく上向いている。
過去2年間の財産が今の大山を支えている。24歳の背中に背負う全戦4番という重圧。ただ不振が続いても、悲観はしてなかった。練習方法に加えたわずかな変化。今回のソフトバンク戦からティー打撃で左打ちを取り入れた。球数にしてもわずかだが、浜中コーチは「準備運動かな。おれも昔やったことあるよ」と自ら考え、打開策を探ろうとする貪欲な姿に目を細めた。
待ってました、といわんばかりの大声援が大山の背中を押す。ついに飛び出した4番弾。「安心なんてしてないです、まだまだなので」。開幕まで残り1カ月を切った3月の始まり。遅咲きの花が今、ようやくつぼみになろうとしている。
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