西 熱投で王者・広島苦しめた 援護なしも我慢の7回1失点
「広島2-1阪神」(31日、マツダスタジアム)
三塁ベンチの最前列で声を張り上げたアイシング姿の阪神・西は、同点のホームを踏んだ上本を笑顔で迎え入れた。土壇場九回に、一時は試合を振り出しに戻してくれた野手陣。その陰には、最少失点で味方の反撃を待ち続けた右腕の力投があった。
五回こそ1死から9番・床田に四球を与え、2死二塁で菊池涼に先制の中前適時打を浴びたが、この回以外は持ち味を十分に発揮。初回は1死一、三塁のピンチで相手の主砲・鈴木を二邪飛、西川を遊ゴロに料理した。
四回も先頭のバティスタに二塁打を浴び、2死ながら一、三塁とされた。しかし、簡単に主導権を渡さない。田中広をチェンジアップで空振り三振。軽くガッツポーズを見せた。低めに制球されたスライダー、打ち気にはやる各打者のタイミングを外すチェンジアップ、勝負どころで内角を突く直球。その全てを駆使しながら、好調広島打線を最少失点に食い止めた。
前回登板した5月24日のDeNA戦(横浜)では今季最短の5回2失点で降板。球数も111球を費やした。前回の反省を踏まえ、ピンチでも「“我”を出さないように投げたことで、最少失点で行けた」と粘投の要因を自己分析。「試合前に梅野と話し合った通りに投げることができたので、好調の広島打線を最少失点で抑えることができました」とうなずいた。
五回は相手投手・床田への四球から失点。悔やまれる四球にも捉えられる場面だったが、試合後は「結果論」と意に介さなかった。5月10日の中日戦(甲子園)以来となる今季4勝目とはならなかったが、首位・広島を相手に示した1失点は胸を張れる内容だ。ナインを信じて腕を振った109球を、必ず次戦につなげてみせる。
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