北川新コーチ 第2のミラクル男育成へ打者底上げ 矢野監督の直電に男気復帰決断
阪神の来季打撃コーチに就任した北川博敏氏(47)=前ヤクルト2軍打撃コーチ=が25日、西宮市の球団事務所で会見した。矢野監督から直接、就任要請を受け、2000年以来のタテジマに袖を通すことを決断。01年の近鉄時代に史上初の代打逆転サヨナラ満塁優勝決定本塁打を放った“ミラクル男”が、虎の打者陣に勝負強さを注入する。背番号は「80」に決まった。
大きな体に紺色のスーツ姿。代名詞の“笑顔”で会見に登場した北川新打撃コーチは「こんな体形はしていますが、身の引き締まる思いで…」といきなり笑いを誘い「まさかこんな人がいる中でコーチの会見をするとは思っていなかった。さすがタイガースだなっていう気持ち」とさらに笑顔を見せた。
第2の“ミラクル男”育成に期待がかかる。北川氏と言えば、忘れられないのが近鉄時代に放った奇跡の一発だ。01年9月26日、優勝マジック「1」で迎えたオリックスとのシーズン最終戦で、史上初の代打逆転サヨナラ満塁優勝決定弾の離れ業をやってのけた。
「もう17、8年前ぐらいですか。薄れかけてはいますが…まああれは僕にしかできないことなので(笑)。でもそういう場面とかでも活躍できるような選手を育てていきたい」
ここ数年の阪神は勝負どころでの決定打不足が課題となっている。谷本本部長からも勝負強さや準備力の指導を期待される。北川氏は「勝負強さ…そこは半分は運だと思うんで」と前置きしつつ「運とあとは負けん気の強さ、もう技術以外の精神的なところがすごくあると思うんで」と話し、現役時代そしてコーチ時代に自らが感じ取ったことを伝えていく考えだ。
就任要請は、阪神時代にチームメートだった矢野監督から直接電話で伝えられた。「ペー(北川氏)の力を貸してほしい。タイガースの打者の底上げをなんとか手伝ってくれないか」。突然の連絡だったため「びっくりしました」とその時の心境を振り返る。
阪神から近鉄に移籍後も、矢野監督とは趣味の魚釣りに行った際に顔を合わせる関係だった。電話で要請を受けた時も「前向きに考えさせてもらいます」と即返答したという。
1軍か2軍か担当は未定だが、秋季キャンプでは井上1軍打撃コーチ、新井打撃コーチとの3人体制で指導する予定。26日からは甲子園の秋季練習に早速参加する。久々の縦じまに「1年目、プロに入った時と同じユニホームをまた着られるっていう喜びが…」と感慨深げ。ミラクル男が古巣に勝負強さを注入し、恩返しする。