叱るより、好くこと

 【11月7日】

 ANAのサイトで龍馬空港への便を検索すると、これがまあまあ混んでいる。この季節の高知は人気なのか。桂浜、足摺岬、四万十川…確かに小旅行にはもってこいの癒やしスポット。なかには“球秋”に焦がれ、矢野阪神のキャンプへ足を運ぶ熱心なファンもいるだろう。さて当方はどうしよう。

 もう少し、鳴尾浜の調整組を観てから安芸へ向かうことにする。

 「こんにちは!」。僕が敷地内のベンチで新聞を読んでいると、北條史也から声を掛けられた。ハッとしてこちらも「こんにちは」と返す。この時期のファーム施設には、シーズン中に故障し、リハビリに励む選手もいる。きのうは当欄で上本に触れたが、北條もその一人。次代の猛虎を10年、いや15年背負う面々である。本来なら秋の安芸で泥にまみれなければならないのだが、「虎の穴」で地道に鍛錬を重ねているわけだ。

 「こんにちは!」。今度は西田直斗から挨拶された。11年度ドラフトで大阪桐蔭から3位入団した彼は今オフ戦力外通告を受けた。何度かプライベートで一緒したし思い入れのある選手。今後トライアウトに挑戦するそうだが、まだ25歳。完全燃焼を願っている。

 タイガースのみならず、オフは各球団の「去就」「進退」にまつわるニュースが毎日のように耳に入る。気になったのはソフトバンクヘッドコーチ達川光男の退団。日本シリーズ連覇を花道に任期満了だというが、球界から達川節が消えるのは寂しい。シリーズ中、その達川と福岡で話す機会があったことは当欄で紹介した。ホークス談議もしたけれど、03年にバッテリーコーチとして在籍した古巣阪神にも、思いを寄せていた。

 「どこの球団も指導方法が難しくなっとるのは間違いないよ。阪神でもそう。今の子にそぐわないやり方をしてしまうとうまくいかんのんよ。ホークスでも同じ。こっちが広島弁でちょっと厳しく言うたら、誰もモノを言わんもん」

 カープ監督時代に新入団した新井貴浩に対し、当時の達川は厳しく接していた。が、今そのやり方では誰一人ついてこないという。 「『バカ』じゃ『ヘタクソ』じゃ言うても、新井は食らいついてきたけど、今の子はちょっとでも怒ったら、近寄ってこんよ。こっちが選手に叱られるんじゃけぇ。『ヘッド、そんな言い方されたらできません!』って。まず褒めんといけん。叱るより好くこと。選手を好きにならにゃいけんのよ」

 カープ達川監督はザ・昭和の指導者だったように思う。僕自身そういう時代に育ったので、当時はそれが当たり前だと思っていたけれど、20年経てば、指導マニュアルも様変わりするということだ。

 鳴尾浜にいても安芸情報は伝わってくる。新監督の矢野燿大は若い世代への接し方を心得ているように思う。金本知憲によれば例えば北條という選手は昭和のやり方でも食らいついてくるタイプなんだとか。但し、それはごく希。マニュアルをアップデートする作業も矢野阪神に課せられたミッションなのかもしれない。=敬称略=

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