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「安田記念・G1」(3日、東京)
驚がくのタイムでマイル界の頂点に立った。2番人気のストロングリターンが1分31秒3のJRAレコードで優勝。昨年2着の雪辱を果たした。1番人気サダムパテックの単勝支持率は12・05%(6・6倍)。グレード制導入の84年以降では最低を記録した大混戦を、馬場の真ん中から力強く伸びて制した。史上初の土日での3重賞制覇を決めた福永は今夏、米国で腕を磨くプランを明かした。なお、首差2着に13番人気のグランプリボス、3着は15番人気のコスモセンサーだった。
先頭でゴール板を駆け抜けたストロングリターンの背で、福永は小さく右の拳を握りしめた。その後、かみしめるようなガッツポーズを2回。これこそが、胸の内を代弁するものだった。「春のG1は有力馬で結果が出せなかったが、やっと結果を残せた」。リーディングトップをひた走る男も、皐月賞2着が最高。右手は自然に上がった。
激しいたたき合いとなった直線、先行馬が力尽きる激流をグランプリボスとともに伸びる。1年前に首差で泣いたタイトルを今度は同じ首差で手に入れた。JRAレコードの1分31秒3。10年NHKマイルCのダンンシャンティを0秒1更新する圧巻の数字も刻んだ。
まさに“ユーイチウイーク”だった。土曜の鳴尾記念をトゥザグローリーで制し、日曜はG1、最終レースのユニコーンSでもVをつかんだ。機転になったのが、1番人気のワールドエースで4着に終わった先週のダービーだった。「納得のいく乗り方はできた」としているが、悔しさはあったはず。「ダービーで1番人気の馬に騎乗したことはいい経験になったし、人を大きくさせる」。それが史上初の土日での3重賞制覇に結びついた。
初コンビの前走、京王杯SCでは4着。「昨年は石橋(脩)君が騎乗して2着。彼も結果を出していたが、それ以上の結果が求められると思っていた」と語る。プレッシャーに打ち勝っての栄冠を「能力がきっ抗したメンバーだけに、ひとつのミスも許されないと思っていたが、スタート、道中、直線と全てがうまくいった」と振り返った。
ただ、現状には満足していない。さらなる高みを目指すため、トゥザグローリーで臨む宝塚記念(24日・阪神)後には、アメリカ西海岸への武者修業を計画している。候補はシーザリオで05年にアメリカンオークスを制した思い出のハリウッドパーク競馬場、そしてデルマー競馬場。さらに、今回のパートナー・ストロングリターンにも遠征プランが浮上している。
「まだ完成されたジョッキーではないからね。先方からのオファーがあったので、ビザなどの調整が済めば行こうと思っている。海外で足りないものを埋められれば」とあくなき向上心をのぞかせる。この一戦でひと回り大きくなったユーイチ。夏の海外遠征を期にさらなる進化を見せそうだ。
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