パナソニック 選手率先でV勝ち取った
「ラグビー日本選手権・決勝、パナソニック30‐21東芝」(9日、国立)
パナソニックが東芝を下し、4年ぶり4度目の優勝を果たすとともに、初めてトップリーグとの2冠を達成した。
パナソニックは後半に2トライなどを奪って逆転し、三洋電機から名称変更後、初の頂点に立った。東芝は7年ぶりの優勝を逃した。ラグビーの2019年W杯や20年東京五輪に向けた改築工事のため、現在の国立競技場では最後の日本選手権となった。
王者にふさわしい戦いぶりだった。サントリーの連覇を阻止して勢いに乗る東芝の強烈なプレッシャーに苦戦しながらも、パナソニックは決して焦ることはなかった。前半は自慢のディフェンスを破られ2トライを許したものの、選手同士で声を掛け合ってきっちり修正。後半に入ると一気にギアを上げた。
後半6分、SOバーンズの突破からCTB林のトライで逆転。同21分には、バーンズの逆サイドへのパントをCTBピーターセンが押さえてトライを決めてリードを広げる。そして同34分、バーンズが約50メートルのPGを決めて勝負はついた。
バーンズは股関節を痛めてベストの体調ではなかった。「東芝は準決勝の勢いを必ず前半にぶつけてくる。リードされたけどパニックはなかった」と冷静な状況判断でチームを勝利に導いた。今季から加入した司令塔は、「チームの絆が素晴らしい。自分のキャリアにとっても特別なトロフィーだ」と優勝の喜びに浸った。
ハーフタイムにはコーチ陣からアドバイスされる前に、選手たちから声が上がったという。「接戦になると思っていたし、選手たちを信頼していた。価値のある試合ができた」と中嶋監督は胸を張った。堅守とチーム全員の高い意識で頂点に立ったパナソニックが、黄金時代へ向けて突き進む。