香生子「銀」日本新で日本勢初メダル
「水泳世界選手権」(3日、カザニ)
競泳女子200メートル個人メドレーで渡部香生子(18)=JSS立石=が2分8秒45の日本新記録で2位となり、五輪も合わせ同種目で日本勢初のメダルに輝いた。渡部は前日の準決勝で出した日本記録を1秒16も更新し、五輪、世界選手権を通じて初めて表彰台に立った。競泳では今大会の日本勢メダル第1号。優勝したカティンカ・ホッスー(ハンガリー)は2分6秒12の世界新記録を樹立した。
思いも寄らなかった銀メダルに声は上ずり、笑いと涙が止まらなかった。渡部が狙い通りの後半勝負で強敵を次々抜き去り、女子200メートル個人メドレーの日本勢で史上初の表彰台に。初の決勝で最高のレースを演じ「必死すぎて…。苦しかったけど、必死でした」と興奮を抑えきれなかった。
照準は、ホッスーとオコーナーに続く「銅」だった。竹村コーチは「(ほかの選手は)平泳ぎでかわせる。最後は脚がちぎれてもいいから頑張りなさい」と送り出した。
大きくうなずいた教え子は、その言葉以上の泳ぎを見せた。前半のバタフライ、背泳ぎを終え最下位だったが、大きな差は許さず「焦りはそんなになかった」。得意の平泳ぎで一気に4位に浮上し、勢いのまま自由形勝負。懸命に腕をかき、キックを打つ。残り25メートル付近でメダル圏内を捉えると、大失速したオコーナーもラスト5メートルで鮮やかにかわした。
最後の50メートルは4月の日本選手権より1秒08、準決勝より0秒64も速い30秒11。圧巻のスパートには竹村コーチも「久々にスイッチが入った」と目を丸くした。思うように活躍できなかったロンドン五輪や、2年前の前回大会とはまるで別人の泳ぎっぷりに渡部は「力がついた証しだと思う」。本職の平泳ぎ2種目を残す女子のエースから、大爆発のムードが漂ってきた。