春日野親方、弟子の傷害事件公表せず 協会「対応問題なし」も責任問題発展必至か
角界にまた新たな不祥事が発覚した。大相撲の春日野部屋に所属していた力士(23)が弟弟子(22)の顔を殴って傷害罪で起訴され、2016年6月に懲役3年、執行猶予4年の有罪判決が確定していたことが24日、関係者への取材で分かった。日本相撲協会の理事で広報部長を務める春日野親方(元関脇栃乃和歌)は事件の存在を公表しておらず、「(力士は)辞めてますから」と公表する必要はないとの考えを示した。
負の連鎖が止まらない。元日馬富士の暴行事件では広報部長として情報発信を担い、現在は貴乃花親方(元横綱)の理事解任で空席となった巡業部長も兼任する春日野親方が、自身の部屋で起こった傷害事件を公表せず。責任問題に発展するのは必至で、2月に予定される理事候補選挙にも影響しそうだ。
親方は取材に「(加害者の兄弟子は)もう辞めてますから。それも(公表)しなければいけないのか」と話した。協会広報部は「春日野より報告されており、理事および親方として対応に問題はなかった」とのコメントを出した。報告時期は明らかにしていない。
関係者の証言などによると、暴行したのは15年名古屋場所を最後に引退した元力士。14年9月5日夜、7カ月前に入門したばかりの弟弟子の顔を拳で殴ったり、腹を蹴ったりした。元力士が部屋の掃除の仕方を注意しようとした際にトラブルになったという。
弟弟子は全治1年6カ月と診断された。弟弟子側は14年10月、元力士を警視庁に刑事告訴。書類送検を受けた東京地検が傷害罪で起訴し、東京地裁が16年6月に有罪判決を言い渡し、確定した。必要な治療を受けさせなかったとして、春日野親方も保護責任者遺棄容疑で告訴したが、不起訴処分となった。
16年3月に相撲協会の理事に就任した春日野親方だが、11年には弟子をゴルフクラブで殴ったことが発覚している。親方は「やり過ぎた」と暴行を認めたものの、弟子が被害届を出さなかったため事件化されなかった。
加害者の元力士は取材に応じ、「殴ったことは悪かった。自分自身の問題で部屋が悪いわけではない。(事件のことを)話すなと言われたことはない」と話した。