速見元コーチが全面謝罪「一切暴力行わない」宮川と東京五輪へ「一緒に再出発を」

 体操女子の16年リオデジャネイロ五輪代表、宮川紗江(18)の指導の際に暴力を振るい、日本体操協会から無期限の登録抹消処分を受けた速見佑斗元コーチ(34)が5日、都内で謝罪会見を行った。暴力行為について大筋で認めて謝罪し、宮川と20年東京五輪に向けて出直すことを誓った。また、日本協会の塚原光男副会長(70)、千恵子女子強化本部長から3度の“引き抜き”要請があり、圧力を受けたことも明かした。

 先月15日の協会による処分発表で騒動が表面化してから21日。最後の主要人物がようやく公の場に姿を見せた。黒のスーツで登壇した速見元コーチは、唇を震わせながら「私、速見佑斗は宮川選手への度重なる暴力行為を行い、選手はもとより周りの選手、コーチに対し、恐怖心を抱かせてしまったことを深くおわび申し上げます」と謝罪。その上で「今後、どんな小さいなものでも一切暴力は行わないことを、ここに誓います」と宣言した。

 協会が調査で判明したとしている暴力行為は顔をたたく、髪を引っ張るなど13年9月から5年間にわたる計11件。「顔が腫れたことはないと思う」など詳細の部分で否定することはあったが、大筋は認めた。さらに「お尻を蹴ったこともある」と自ら明かすなど暴力は日常化していた。自身も幼少期から体操の指導で暴力を受けたとし「けがや命に関わるぐらいなら、たたいてでも分からせないといけないという認識があった」と、悔恨した。

 一時は処分を不服として、東京地裁に地位保全を求める仮処分を申し立てたが、その後、取り下げて処分は確定。処分は永久ではなく、宮川は指導継続を希望している。暴力を「パワハラと感じていない」と主張した宮川に対し「間違った指導だったと教えられなかった」と悔やんだ速見元コーチ。「2人の夢」と語る20年東京五輪に向け「一緒に再出発が切れる状況を頑張って作っていきたい」と、暴力による師弟愛を断ち切り、出直すことを誓った。

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